プリチャージ(Precharge)とは、回路の動作の前に、配線や容量をあらかじめ決まった電圧に充電(または放電)しておく操作のことです。「事前の充電」を意味し、次の動作で小さな電圧の変化を正確に検出できるようにしたり、動作を速めたりするために行います。最もよく知られているのはDRAMの読み出しでのプリチャージで、このほかダイナミック論理回路や、電源回路の突入電流の対策でも使われます。
DRAMでは、メモリセルのキャパシタに蓄えた小さな電荷を、セルがつながるビット線に流して読み出します。読み出しの前に、ビット線の対を電源電圧の半分(VDD/2)にそろえておき(プリチャージとイコライズ)、ワード線を開くと、セルの電荷によってビット線の電圧がわずかに上がるか下がるかします。センスアンプがこのわずかな差を増幅して0か1かを判定します。DDRなどのDRAMでは、開いている行を閉じてビット線を次の読み出しに備えた状態に戻す命令をプリチャージ(PRE)と呼び、そのために必要な時間(tRP)は、メモリの速さを表すタイミングの1つです。
ダイナミック論理(ドミノ論理)では、クロックの前半で出力の節点をプリチャージして高い電圧にしておき、後半で入力に応じて放電するかどうかを決める(評価する)ことで、通常のCMOS回路より速く動作させます。電気自動車のインバーターなどでは、大きな平滑用のコンデンサに電源をいきなりつなぐと大電流(突入電流)が流れて部品を傷めるため、抵抗を通してゆっくり充電してからリレーを閉じるプリチャージ回路が設けられます。