インプリントとは、強誘電体メモリなどで、強誘電体を同じ分極の向きのまま長い時間(特に高温で)置いておくと、その向きが「くせ」として残り、反対の向きに書き換えにくくなる現象です。分極と電圧の関係を表すヒステリシスのループが、電圧の軸に沿って片側にずれる形で現れます。
インプリントが起こると、ずれた方向と反対の状態を書き込むのに大きな電圧が必要になり、決められた電圧では書き換えが不十分になったり、書き込んだ直後の読み出しで正しい値が得られなくなったりします。原因は、強誘電体の中の欠陥や電荷が、長い時間の間に分極の向きに合わせて移動・固定され、内部に電界を作ることだと考えられています。
インプリントは、書き換えを繰り返すと分極が弱くなる疲労(ファティーグ)、分極が時間とともに失われるリテンションとともに、強誘電体メモリの信頼性の三大項目の1つです。従来のPZTを使ったFeRAMに加え、近年研究が盛んな酸化ハフニウム系の強誘電体(FeFET・FeRAM)でも、使い始めに分極が増えるウェイクアップ現象とあわせて評価が重要になっています。なお、ナノインプリントリソグラフィとは関係のない用語です。