表皮効果(Skin Effect)とは、導体に交流の電流を流したとき、周波数が高くなるほど電流が導体の表面近くに集まり、中心部をほとんど流れなくなる現象です。電流が変化すると導体の内部に磁界の変化による逆向きの電流(渦電流)が生じ、中心部の電流を打ち消すために起こります。電流が流れる実質的な断面積が小さくなるため、高い周波数ほど導体の抵抗が大きくなります。
電流が表面からどの深さまで流れるかの目安を表皮深さ(スキンデプス)δと呼び、δ=√(2ρ/ωμ)で表されます(ρは抵抗率、ωは角周波数、μは透磁率)。表皮深さは周波数の平方根に反比例して浅くなり、銅の場合、家庭用電源の50〜60Hzでは約9mmですが、1GHzでは約2μm、10GHzでは約0.7μmしかありません。そのため、GHz帯の信号では、配線の表面のごく薄い層だけを電流が流れることになります。
表皮効果は高速・高周波の回路の設計で重要です。パッケージ基板やプリント基板の配線では、高速の信号ほど抵抗による損失が増え、信号が弱まったり波形がなまったりします。表面のごく浅い層を電流が流れるため、銅箔の表面の凹凸が大きいと電流の通り道が長くなって損失が増え、高速の通信用の基板には表面を平滑にした銅箔が使われます。高周波のインダクタでは、細い線を束ねたリッツ線や、表面に電気の流れやすいめっきを施す工夫がされます。半導体製造装置でも、プラズマを作る高周波(RF)の電力を送る経路の設計に、表皮効果が考慮されます。