SerDes(Serializer/Deserializer、サーデス)とは、チップ内部の並列(パラレル)データを1本の高速な直列(シリアル)信号に変換して送り、受信側で元の並列データに戻す回路のことです。送信側のシリアライザと受信側のデシリアライザを合わせて呼びます。多数の配線を並べる並列伝送に比べ、配線の本数を減らしながら、1本あたり数十〜200Gbps超の高速でデータを送ることができます。
SerDesは、PCI Express、イーサネット、USB、SATA、CXLなど、チップとチップ、ボードとボードをつなぐ高速インタフェースの物理層(PHY)の中核です。高速の信号は、プリント基板の配線やケーブルを通る間に減衰し、波形がなまって隣のビットと混ざってしまいます。そのため送信側では信号を強調するFFE(フィードフォワード・イコライザ)、受信側ではCTLE(連続時間線形イコライザ)やDFE(判定帰還型イコライザ)で波形を補正し、受信データからクロックを取り出すCDR(クロック・データ・リカバリ)でタイミングを合わせます。最近の112Gbpsや224Gbpsの世代では、1回の信号で2ビットを送るPAM4方式が使われ、受信側でADコンバータとデジタル信号処理を使う構成も増えています。
生成AI向けのデータセンターでは、GPUやスイッチのチップが外部とやり取りするデータ量が急増し、SerDesの速度と本数、消費電力がシステム性能の制約になっています。チップの周囲に並べられるSerDesの数には限りがあるため、光トランシーバーをチップのすぐ近くに置くCo-Packaged Optics(CPO)や、チップレット間を短距離の並列配線でつなぐUCIeなどの技術も組み合わされています。SerDesの回路は設計が難しいため、SynopsysやCadenceなどのIPベンダーが設計資産(IP)として提供するほか、BroadcomやMarvellなどが自社で開発しています。