六フッ化硫黄(SF6)とは、硫黄1個にフッ素6個が結びついた無色・無臭の気体で、化学的に非常に安定しています。半導体の製造では、シリコンを深く掘るドライエッチングのガスとして使われ、特にMEMSやTSVを作るボッシュプロセスのエッチングの工程の主役です。プラズマで分解するとフッ素の原子が多くでき、シリコンを速く削れます。
SF6は、半導体の製造以外では、電気を通しにくく放電を抑える性質を生かして、変電所の開閉器(ガス絶縁開閉装置)の絶縁ガスとして大量に使われています。人体への毒性は低いものの、空気より約5倍重いため、狭い場所にたまると酸欠の危険があります。プラズマや放電で分解すると、毒性のある分解物ができることにも注意が必要です。
SF6は、知られている気体の中で最も強い温室効果を持つものの1つで、100年間の地球温暖化係数は二酸化炭素の約2万3,500倍、大気中に約3,200年残るとされています。そのため、半導体の工場では使い残したSF6を除害装置で分解し、排出を減らしています。電力の分野でも、SF6を使わない絶縁の方式への切り替えが進められています。