ボッシュプロセスとは、シリコンを深くまっすぐに掘るために、エッチング(削る工程)と保護膜の堆積(守る工程)を数秒ごとに交互に繰り返すドライエッチングの方法です。ドイツの自動車部品メーカー、ロバート・ボッシュ社が特許を取得したことから、この名前で呼ばれています。深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を代表する方法で、MEMSやTSV(シリコン貫通電極)の加工に欠かせません。
エッチングの工程では、六フッ化硫黄(SF6)のプラズマでシリコンを削ります。このガスはシリコンを全方向に削る(等方性)ため、そのままでは穴の横にも広がってしまいます。そこで、次の保護の工程で、八フッ化シクロブタン(C4F8)のプラズマを使って、穴の底と側壁の全体にテフロンのような薄いフッ素樹脂の膜を付けます。再びエッチングに切り替えると、垂直に飛んでくるイオンが底の保護膜だけを先に壊し、側壁の膜は残るため、底だけが削られて下へ進みます。
この繰り返しにより、深さが幅の数十倍にもなる穴や溝を、高い速さで垂直に掘ることができます。ただし、1回ごとのエッチングで少しずつ横に削れるため、側壁にはスキャロップと呼ばれる波形の凹凸が残ります。TSVでは、この凹凸が後で付けるバリア膜や銅の埋め込みに影響するため、切り替えの時間を短くして凹凸を小さくするなどの工夫がされています。