TEG(テストエレメントグループ)とは

TEG (Test Element Group)

最終更新:2026-09-21ウェハプローバー半導体テスト装置

TEG(テストエレメントグループ)とは?

TEG(テストエレメントグループ)とは、製造工程の出来栄えを電気的に評価するため、ウェハ上に作り込む評価専用のテストパターン群です。トランジスタ・抵抗・ビアチェーン・櫛形配線などを単体で測れるようにしたもので、製品回路からは読めないしきい値電圧やコンタクト抵抗を直接取得できます。主にスクライブラインに配置され、ファウンドリではWAT(Wafer Acceptance Test)としてロットの出荷判定に使われます。

定義・解説

TEG(テストエレメントグループ)とは、半導体の製造工程や設計ルールが狙いどおりに仕上がっているかを電気的に評価するために、ウェハ上に作り込む評価専用のテストパターン群です。トランジスタ単体・抵抗・コンタクトやビアを直列につないだチェーン・配線の櫛形パターンなどで構成され、英語圏ではテストストラクチャやPCM(Process Control Monitor)、台湾ではテストキーとも呼ばれます。

製品チップの回路は、外部から内部の個々の素子に直接アクセスできません。ウェハテストで分かるのは「動いたか、動かなかったか」までで、しきい値電圧がどれだけずれたのか、どの層の抵抗が高いのかは読み取れません。TEGは、素子や配線を単体で取り出して専用のパッドにつなぐことで、こうした物理量を直接測れるようにした構造です。

TEGの置き場所は主に2つあります。1つは製品ウェハのチップ間にあるスクライブライン(ダイシングで切り落とされる領域)で、製品と同じ条件で作られたTEGを全ロットで測定し、工程の出来栄えを監視します。ファウンドリではこの測定をWAT(Wafer Acceptance Test)と呼び、ロットの出荷判定や顧客への提出データに使います。もう1つはウェハ全面をTEGにした評価用ウェハやTEGチップで、新プロセスの立ち上げ、デバイスモデルの抽出、信頼性評価に使われます。

測定はウェハプローバーとパラメトリックテスタ(直流の電流-電圧特性や容量-電圧特性を高精度に測る装置)で行います。トランジスタのTEGからはしきい値電圧・オン電流・オフリーク電流を、抵抗のTEGからはシート抵抗やコンタクト抵抗を、ビアチェーンや櫛形・蛇行パターンからは断線・短絡の有無と欠陥密度を取得します。こうしたデータは、回路設計に使うSPICEモデルやデザインルールの根拠にもなります。

TEGの価値は、不良が起きたときに原因の工程を切り分けられることにあります。製品の歩留まりが落ちたとき、同じウェハのTEGでビアチェーンの抵抗が上がっていれば配線工程、トランジスタ特性がずれていればイオン注入や熱処理というように、疑うべき工程を絞り込めます。一方で、スクライブラインは幅が限られTEGを置ける数に制約があること、ダイシングで切断されるため後から再測定できないことなどの制約もあります。

図解

ウェハのスクライブライン上に配置されたTEGの模式図。トランジスタ、シート抵抗、ビアチェーン、櫛形・蛇行パターンが測定用パッドとともに並ぶ。
TEGはチップ間のスクライブラインに置かれ、ダイシング前にウェハ状態で測定される

TEGの種類と、そこから分かること

TEG は「何を疑っているか」に合わせて形を変えます。代表的な構造と、測れる値、異常が出たときに疑う工程を整理すると次のようになります。

TEG構造取得する値異常が示す工程
トランジスタゲート幅・長さを振った単体の MOSFETしきい値電圧・オン電流・オフリーク・相互コンダクタンスゲート加工・イオン注入・熱処理
シート抵抗ファンデルパウ構造・グリーククロス拡散層・ポリシリコン・金属膜のシート抵抗注入ドーズ・活性化アニール・膜厚
コンタクト/ビアチェーン多数のコンタクトやビアを配線で直列接続チェーン全体の抵抗・断線の有無ホールのエッチング・埋め込み・洗浄
ケルビン構造・TLM1個のコンタクトを4端子で測る/間隔を変えた電極列コンタクト抵抗・接触抵抗率シリサイド・界面処理
櫛形・蛇行かみ合わせた櫛の間に蛇行配線を通す短絡(櫛間のリーク)・断線(蛇行の抵抗)・欠陥密度露光・エッチング・CMP・パーティクル
キャパシタ大面積の MOS 容量・MIM 容量絶縁膜厚(C-V)・リーク電流・耐圧ゲート酸化・絶縁膜の成膜
信頼性評価用EM・TDDB・BTI 評価用の配線・ゲート構造寿命・特性の経時変化配線工程・ゲート絶縁膜
リングオシレータインバータを奇数段つないでループにした回路発振周波数(1段あたりの遅延)トランジスタと配線容量の総合

測定原理はファンデルパウ法シート抵抗、 信頼性評価の中身はエレクトロマイグレーションTDDBの解説も参照してください。

櫛形TEGから欠陥密度を求める

櫛形・蛇行 TEG の良否をウェハ上で多数測ると、ランダムに発生する欠陥の密度を見積もれます。 欠陥がランダムに分布すると仮定するポアソンモデルでは、面積 A のパターンが欠陥に当たらない確率(歩留まり)は次式です。

Y = exp(−A · D0) ⇔ D0 = −ln(Y) / A

たとえばクリティカルエリア 0.2 cm² の櫛形 TEG で良品率が98%なら、D0 = −ln(0.98) / 0.2 ≈ 0.10 個/cm² です。 同じ欠陥密度のもとで面積 1.5 cm² のチップを作ると、歩留まりは exp(−1.5 × 0.10) ≈ 86% と予測できます。 製品を流す前に、TEG だけで歩留まりの見通しが立つわけです。

クリティカルエリアはパターンの面積そのものではなく、「その位置に欠陥が落ちると不良になる領域」の面積です。 欠陥が局所的に固まって発生する場合、ポアソンモデルは歩留まりを低めに見積もるため、負の二項分布モデルなどが使われます。

コンタクト抵抗はTLMで切り分ける

コンタクト抵抗は、配線や拡散層の抵抗と直列につながっているため、1回の測定では分離できません。 TLM(Transfer Length Method)では、同じ幅 W の電極を間隔 L を変えて並べ、隣り合う電極間の全抵抗 RT を測ります。

RT = 2Rc + Rsh · (L / W)

RT を L に対してプロットすると直線になり、傾きから半導体層のシート抵抗 Rsh が、 L = 0 への外挿値から 2Rc が求まります。横軸との交点は −2LT(LT:電流が電極の下に入り込む距離、トランスファー長)になり、電極の寸法によらない接触抵抗率 ρc を次式で見積もれます。

ρc ≈ Rsh · LT²

電極の長さがトランスファー長より十分長い場合の近似です。微細化でコンタクト抵抗が トランジスタ全体の抵抗に占める割合が増すにつれ、この切り分けの重要性も増しています。

ビアチェーンは長くするほど何が見えて、何が隠れるか

ビアチェーンは、N 個のビアのうち1個でも断線すれば全体が導通しなくなる構造です。 1個あたりの断線確率を λ とすると、チェーンが導通する確率 p との関係は次のとおりです。

p = (1 − λ)N ≈ exp(−N · λ) ⇔ λ ≈ −ln(p) / N

λ が 1 ppm(10⁻⁶)の工程を評価したいとき、ビア1,000個のチェーンでは不良が1,000本に1本ほどしか出ず、統計的にほとんど何も言えません。 100万個のチェーンなら約63%のチェーンが不良になり、はっきり差が見えます。低い不良率を測るには、それに見合う長さが必要です。

一方で、長いチェーンでは見えなくなるものもあります。配線の抵抗を無視すると、1 Ω のビアを1万個つないだチェーンの抵抗は約10 kΩ ですが、 そのうち1個が100 Ω に高抵抗化しても、全体の抵抗は約1%しか増えません。製造ばらつきに埋もれてしまうため、 断線に至らない高抵抗ビアは検出できないのです。このため、断線を見る長いチェーンと、 個々のビアの抵抗を見るケルビン構造や短いチェーンを組み合わせて配置します。

TEGを置く場所の制約

量産ウェハのスクライブラインは幅が数十〜100 µm 程度しかなく、プローブの針を当てる数十 µm 角のパッドを一列に並べるのが精一杯です。 置ける TEG の数が限られるため、工程ごとに監視したい項目を取り合うことになります。 開発段階ではウェハ全面を TEG にした評価用ウェハや、一部の工程だけを流すショートループで集中的に評価し、 量産段階ではスクライブラインの限られた TEG で監視を続けるという使い分けが一般的です。

測定はウェハプローバーに TEG 用のプローブカードを取り付け、 パラメトリックテスタで直流の電流-電圧特性や容量-電圧特性を測ります。 製品の機能を確かめるウェハテストとは、測る対象も判定の考え方も異なります。

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ウェハテストと最終テストの違い(比較)→四探針法とホール効果測定の違い(比較)→歩留まり(イールド)とは →

この用語を扱う職種

設計・デバイス開発デバイスエンジニア(トランジスタ開発)

よくある質問(FAQ)

TEGとWAT・PCMの違いは何ですか?
指しているものはほぼ同じで、呼び方の違いです。TEGは日本で一般的な呼び方で、評価用のパターンそのものを指します。PCM(Process Control Monitor)は工程監視用のテスト構造を指す英語圏の呼び方、WAT(Wafer Acceptance Test)はそれを測定してウェハの合否を判定する工程を指す呼び方で、主にファウンドリで使われます。
TEGはウェハのどこに配置されますか?
量産ウェハでは、チップとチップの間にあるスクライブライン上に配置するのが一般的です。製品チップの面積を削らずに済み、製品と同じ条件で作られたパターンを測定できます。ただしダイシングで切り落とされるため、測定はウェハの状態で済ませる必要があります。開発段階では、ウェハ全面をTEGにした評価用ウェハも使われます。
ビアチェーンのTEGでは何が分かりますか?
数千から数百万個のビアを配線で直列につなぎ、全体の抵抗を測ることで、ビアの断線を検出します。1個でも断線すればチェーン全体が導通しなくなるため、1個ずつ測るよりはるかに効率よく、ppm水準の低い不良率を評価できます。配線工程のエッチング・埋め込み・洗浄の出来栄えを示す代表的なTEGです。
「TEG」には他の意味もありますか?
あります。エネルギー分野では熱電発電素子(Thermoelectric Generator)、化学分野ではトリエチレングリコール(Triethylene Glycol)の略として使われます。半導体の製造・評価の文脈でTEGといえば、テストエレメントグループを指します。

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