マイクロ波アニールとは、電子レンジと同じ種類の電磁波であるマイクロ波(主に数GHz)をウェハに当てて加熱し、イオン注入した不純物を活性化させたり、結晶の欠陥を回復させたりする熱処理の方法です。ランプやヒーターで外から温める方法と違い、マイクロ波が材料の中で直接吸収されて熱になるため、比較的低い温度でも効果が得られることが特長です。
特に注目されているのは、イオン注入でアモルファスになった層を、500℃程度以下の低い温度で結晶に戻しながら不純物を活性化できる点です。マイクロ波は、アモルファスの層や欠陥の多い部分、不純物の多い部分に吸収されやすいとされ、ウェハ全体の温度を上げすぎずに、必要な場所の回復を進められると考えられています。低い温度で済めば、ほかの層への熱の影響(熱バジェット)を小さくできます。
低温での処理が求められる用途として、すでに作ったトランジスタや配線の上に別の層を積み重ねるモノリシック3D集積、熱に弱い材料(High-k膜、ゲルマニウム、化合物半導体)を含む構造、裏面電源の配線の形成などが検討されています。一方、ウェハの温度を正確に測ることが難しく、加熱の均一さや、量産での再現性を確保することが課題で、研究開発や特定の用途が中心です。