LOCOS(Local Oxidation of Silicon:選択酸化)とは、シリコンのウェハの表面のうち、必要な場所だけを熱で酸化して厚い酸化膜を作り、隣り合うトランジスタどうしを電気的に分離する方法です。1970年ごろにオランダのフィリップスの研究者が発表し、その後20年以上にわたって、集積回路の素子分離の標準的な技術として使われました。
まず、ウェハの表面に薄い酸化膜(パッド酸化膜)と窒化シリコンの膜を付け、トランジスタを作る場所にだけ窒化膜を残します。窒化シリコンは酸素を通しにくいため、この状態で高温の酸素や水蒸気の中で酸化すると、窒化膜のない場所だけに厚い酸化膜が成長します。最後に窒化膜を取り除くと、トランジスタを作る場所の周りが厚い酸化膜で囲まれた構造になります。
LOCOSの弱点は、酸化膜が窒化膜の端の下にも横から入り込み、鳥のくちばしのような形(バーズビーク)になることです。このくちばしの分だけ、トランジスタを作れる場所が狭くなり、分離に必要な幅も大きくなります。微細化でこれが無視できなくなったため、0.25μm世代ごろからは、シリコンに溝を掘って酸化膜を埋めるSTI(シャロートレンチアイソレーション)に置き換わりました。現在も、比較的古い世代のプロセスや、パワー半導体、アナログのICなどで使われています。