微細化(スケーリング:Scaling)とは、トランジスタや配線の寸法を小さくして、同じ面積により多くの素子を詰め込むことです。半導体産業は、微細化によって集積度・速度・消費電力・コストを同時に改善し、発展してきました。集積回路の素子数がおよそ2年で2倍になるというムーアの法則は、この微細化の速さを表した経験則です。
1974年にデナードらが示したスケーリング則では、トランジスタの寸法と電圧を同じ割合で小さくすると、電界が一定に保たれ、速度は上がり、面積あたりの消費電力は変わらないとされました。しかし2000年代半ばになると、電圧を下げるとリーク電流が急増するため電圧が下げられなくなり、このデナード則は崩れました。それ以降は、トランジスタの構造と材料を変えることで微細化が続けられてきました。高誘電率ゲート絶縁膜とメタルゲート(HKMG)、立体構造のFinFET、チャネルの四方をゲートで囲むGAA(ゲートオールアラウンド)、そして波長13.5nmのEUV露光がその代表です。
微細化には多くの壁があります。ゲートがチャネルを制御しにくくなる短チャネル効果とリーク電流、原子の数のばらつきによる特性のばらつき、細くなった配線の抵抗の増加、露光や工程の複雑化による製造コストの上昇などです。また「3nm」「2nm」といったプロセスノードの名前は、すでに実際のゲートの長さを表すものではなく、世代の呼び名になっています。近年は、寸法を小さくするだけでなく、設計と製造を一体で最適化するDTCOや、チップを分割して積み重ねるチップレット・3次元実装も、集積度を高める手段として重要になっています。