ストーニーの式とは、基板の上に付けた薄い膜の内部の応力(膜応力)を、膜を付けたことによる基板の反り(曲率の変化)から求める式です。1909年にイギリスの物理学者ストーニーが導きました。膜応力σは、σ=Es·ts²/{6(1−νs)·tf}×(1/R−1/R0)で表されます。Esとνsは基板のヤング率とポアソン比、tsとtfは基板と膜の厚さ、R0とRは膜を付ける前と後の曲率半径です。
この式の大きな利点は、膜そのものの硬さ(ヤング率)を知らなくても、基板の性質と厚さ、反りの変化だけで膜の応力が分かることです。半導体では、膜を付ける前と後にウェハの反りをレーザーで測る装置(膜応力測定装置)を使い、この式で応力を計算します。膜が基板を引っ張って縮めようとする場合が引っ張り応力、押し広げようとする場合が圧縮応力です。
式が成り立つのは、膜が基板より十分に薄く、反りが小さく、応力が面内で均一な場合です。膜応力は、膜のはがれやひび割れ、ウェハの反りによる露光のずれや搬送のトラブルの原因になるため、成膜の条件の管理に欠かせません。3D NANDのように厚い膜を何層も重ねる構造では、膜応力によるウェハの反りが大きな課題になっており、応力の打ち消し合う膜の組み合わせで反りを抑えます。