用語パワー半導体SiCパワー半導体製造装置最終更新 2026-10-10出典 1件Excel・PDF版

逆回復(逆回復時間trr)とは

Reverse Recovery

逆回復とは、順方向に電流が流れているpn接合ダイオードに逆電圧をかけたとき、蓄積した少数キャリアが抜けるまで逆向きに電流が流れる現象です。逆回復時間(trr)と逆回復電荷(Qrr)が大きいほど、スイッチング損失やサージ・雑音が増えます。ライフタイム制御したFRDや、逆回復のほとんど無いSiC SBDで対策します。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

逆回復とは、pn接合ダイオードに順方向の電流が流れている状態から、急に逆方向の電圧をかけたときに、しばらくの間、逆向きに電流が流れる現象のことです。逆向きの電流が流れてから止まるまでの時間を逆回復時間(trr)、その間に流れる電荷を逆回復電荷(Qrr)、電流のピークを逆回復電流(Irr)と呼びます。インバータやスイッチング電源のように、高い周波数でダイオードをオン・オフする回路では、損失と雑音の大きな原因になります。

逆回復が起こるのは、pn接合ダイオードでは順方向に電流を流している間、接合の周りに少数キャリアが大量に蓄積しているためです。電圧を逆向きにしても、蓄積したキャリアが再結合で消えるか、逆向きの電流として引き抜かれるまでは、ダイオードは電流を止められません。この逆回復電流は、ブリッジ回路でオンになる側のトランジスタにも流れ込むため、ダイオード自身の損失に加えて、相手側のスイッチのターンオン損失も増やします。電流が急に止まると、配線のインダクタンスによって電圧のはね上がり(サージ)やリンギングが生じ、雑音(EMI)の原因にもなります。

対策として、白金や金の拡散、電子線やヘリウムの照射でキャリアのライフタイムを短くし、逆回復を速くしたファストリカバリーダイオード(FRD)が使われます。電流がなだらかに止まるソフトリカバリー特性も重要です。多数キャリアだけで動作するショットキーバリアダイオードには、原理的に少数キャリアの蓄積による逆回復がありません。SiC SBDは高耐圧でも逆回復がほとんど無いため、インバータの損失を大きく減らせます。MOSFETに内蔵されるボディダイオードの逆回復も、ブリッジ回路の設計で注意すべき特性です。

図解

ダイオードの逆回復の過程(キャリア蓄積・逆電圧・逆電流・停止)と対策
trrとQrrが大きいほど、スイッチング損失と雑音が増える。

よくある質問(FAQ)

逆回復が起こるのはなぜですか?
pn接合ダイオードでは、順方向に電流を流している間に接合の周りへ少数キャリアが大量に蓄積されるためです。逆電圧をかけても、蓄積したキャリアが再結合で消えるか逆向きの電流として引き抜かれるまでは電流を止められず、その間に逆回復電流が流れます。
SiCショットキーバリアダイオードに逆回復がほとんど無いのはなぜですか?
ショットキーバリアダイオードは多数キャリアだけで動作し、pn接合のような少数キャリアの蓄積が起こらないためです。流れるのは接合の容量を充放電する電流だけで、温度にもほとんど依存しません。SiCは高耐圧でもショットキー構造にできるため、インバータの損失低減に使われます。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. 東芝デバイス&ストレージ「3-5. 逆回復時間」(2026/10/10 確認)