密着性(接着性:Adhesion)とは、膜と下地、あるいは2つの材料どうしがはがれずにくっついている強さのことです。半導体のチップやパッケージは、金属・絶縁膜・樹脂・セラミックスなど性質の異なる多数の材料を積み重ねて作られるため、その界面の密着性が足りないと、製造中や使用中に膜がはがれる(剥離・デラミネーション)不良が起こります。英語のadhesionは「付着・密着」を意味し、日本語では文脈により密着性、接着性、付着力とも呼ばれます。
密着性が問題になる代表的な場面は次のとおりです。(1)配線工程:銅は酸化膜や低誘電率膜との密着が弱いため、間にタンタルや窒化タンタル、チタンなどのバリアメタルを挟んで密着層とします。もろく柔らかい低誘電率膜は、CMPの力や熱応力で界面からはがれやすく、配線の信頼性の課題になります。(2)リソグラフィ:レジストとウェハの密着が弱いと現像中にパターンがはがれるため、HMDS処理で表面を疎水化します。(3)パッケージ:封止樹脂とリードフレームやチップの界面がはがれると、吸湿した水分がはんだ付けの熱で膨張して割れるポップコーンクラックの原因になり、湿気に対する耐性(MSL)が決まります。
密着性を高める主な方法には、密着層(接着層)を挟む、表面をプラズマや薬液で清浄化・活性化する、表面を粗くして接触面積を増やす、カップリング剤やプライマーで化学的な結合を作る、といったものがあります。密着性の評価には、テープをはがすテープテスト、針で引っかくスクラッチ試験、接着したピンを引っ張るスタッドプル試験、薄膜の界面のはがれにくさを数値で求める4点曲げ試験などが使われます。膜の内部応力が大きいと、密着していても応力ではがれる力が強くなるため、応力と合わせて管理します。