マグネトロンスパッタとは、ターゲットの裏側に磁石を置いて、ターゲットの表面近くに磁場をかけたスパッタリングの方式です。半導体の配線やバリアメタルの成膜に使われるスパッタ装置のほとんどがこの方式です。
磁場と電場が交差する場所では、電子が磁力線に巻き付くようにらせんを描きながら、ターゲットの表面に沿って回り続けます(E×Bドリフト)。電子が逃げずに長くとどまるため、気体の分子にぶつかってイオンを作る回数が増え、ターゲットのすぐ前に密度の高いプラズマができます。その結果、0.1〜1Pa程度の低い圧力でも放電が安定し、磁石のない方式より成膜の速さが大きく上がります。圧力が低いと、はじき出された原子が気体にぶつからずにウェハへ届くため、膜の質も良くなります。
弱点は、磁場の形に沿ってターゲットが溝状に削れる(エロージョン)ため、材料の使用効率が低いことと、膜の厚さが不均一になりやすいことです。これを補うため、磁石を回転させて削れ方を均一にしています。金属には直流(DC)、絶縁物には高周波(RF)を使い、窒素などの反応性ガスを入れて窒化チタンを作る反応性スパッタも行われます。微細な穴の底まで膜を付けるため、はじき出した原子もイオン化してバイアスで引き込むイオン化PVDも使われています。