HSG(Hemispherical Grained Silicon:半球状グレインシリコン)とは、表面に直径数十nmの半球状の粒(グレイン)を一面に作り、凹凸を付けたシリコン膜のことです。DRAMのキャパシタ(電荷を蓄える部分)の電極に使われ、表面の凹凸によって同じ平面の面積でも電極の表面積を約2倍に増やし、蓄えられる電荷の量(容量)を大きくする技術として、1990年代のDRAMで広く使われました。
DRAMは、キャパシタに電荷を蓄えて0と1を記憶します。記憶を正しく読み出すにはキャパシタに一定以上の容量が必要ですが、世代ごとにセルが小さくなると、キャパシタの面積も小さくなって容量が足りなくなります。そこで、電極を立体的な筒状や積み上げ型にして面積を稼ぐとともに、その表面をHSGで凹凸にして、さらに面積を増やしました。HSGは、アモルファスシリコンの膜を特定の温度で熱処理すると、表面のシリコン原子が移動して核の周りに集まり、半球状の結晶粒が自然に成長する現象を利用して作ります。
HSGは容量を増やすのに効果的でしたが、凹凸の分だけ電極どうしの間隔が狭くなり、微細化が進むと凹凸を作る余地がなくなりました。そのため、その後のDRAMでは、電極の高さを高くした細長い円筒(シリンダー)や柱(ピラー)の構造と、酸化ジルコニウムなどの高誘電率の絶縁膜を組み合わせて容量を確保する方法が主流になっています。