ダイヤモンド半導体とは、炭素原子がダイヤモンド構造で結合した結晶を、半導体として使う研究段階の材料です。バンドギャップは約5.5eVとSiCやGaNよりはるかに大きく、絶縁破壊電界も非常に高いため、究極のパワー半導体と呼ばれます。熱伝導率は約2,000W/(m・K)と、銅の約5倍、SiCの数倍あり、あらゆる物質の中でもトップクラスです。
高い耐圧、高い放熱性、放射線への強さを生かして、電力変換のほか、高周波の増幅器、宇宙や原子炉など過酷な環境で動く電子機器への応用が期待されています。結晶は、メタンと水素のガスをプラズマで分解して基板の上に積むマイクロ波プラズマCVD法で作るのが一般的です。日本では産業技術総合研究所や大学、民間企業が研究を進め、トランジスタの動作実証や、大きな基板の開発が報告されています。
実用化への課題は大きく3つです。1つ目は大口径の単結晶基板が作りにくく、今は数cm角程度が中心であること。2つ目は不純物を加えて電気を流しやすくするドーピングが難しく、特にn型の層では電子が動き出すのに大きなエネルギーが要ること。3つ目は表面の状態に特性が左右されやすいことです。基板とドーピングの技術が量産の鍵とされています。