PLL(位相同期回路)とは

Phase-Locked Loop (PLL)

最終更新:2026-09-28・エレクトロニクス・混在型テストシステム|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

PLL(位相同期回路)とは?

PLL(位相同期回路)とは、基準信号に位相をそろえた信号を作る回路で、数十MHzの水晶の基準クロックから数GHzのクロックを生成します。位相比較器・チャージポンプ・ループフィルタ・VCO・分周器のフィードバックで構成され、CPUやSoCのクロック、無線の周波数シンセサイザ、SerDesのクロック再生に使われます。

定義・解説

PLL(Phase-Locked Loop、位相同期回路)とは、入力された基準信号に位相をそろえた(同期した)信号を作り出す回路です。水晶振動子などが出す数十MHzの安定した基準クロックをもとに、その何十倍もの数GHzのクロックを作ることができ、CPUやSoCの動作クロック、通信のクロック、無線の周波数の生成に欠かせないアナログとデジタルの混在回路です。

基本の構成は、位相比較器(位相周波数比較器、PFD)、チャージポンプ、ループフィルタ、電圧制御発振器(VCO)、分周器の5つです。VCOの出力を分周器で1/Nに割った信号と基準信号の位相を比較し、ずれに応じた電圧をループフィルタで平滑化してVCOに戻します。このフィードバックによって、分周した信号の位相が基準に一致した状態(ロック)に保たれ、VCOの出力は基準周波数のN倍になります。分周比を整数だけでなく小数にできるフラクショナルN型PLLは、細かい周波数の設定が必要な無線の周波数シンセサイザに使われます。

PLLの性能は、出力クロックの揺らぎであるジッタ(周波数領域では位相雑音)、ロックするまでの時間、消費電力、占有面積などで評価します。ジッタはCPUの動作周波数の余裕や、高速通信の誤り率に直結します。高速シリアル通信(SerDes)の受信側では、受信データそのものからクロックを取り出すクロック・データ・リカバリ(CDR)にPLLの技術が使われます。先端プロセスでは、アナログの部分をデジタル回路で置き換えた全デジタルPLL(ADPLL)も広く使われています。

よくある質問(FAQ)

PLLで周波数を何倍にもできるのはなぜですか?▾
発振器(VCO)の出力を分周器で1/Nにしてから基準信号と位相を比較し、両者が一致するようにVCOを制御するためです。分周した信号が基準と同じ周波数になった状態で安定するので、VCOの出力はちょうど基準周波数のN倍になります。
PLLのジッタとは何ですか?▾
PLLが出力するクロックの立ち上がりのタイミングの細かな揺らぎのことで、周波数の側から見たものを位相雑音と呼びます。ジッタが大きいと、CPUではタイミングの余裕が減り、高速通信ではデータの誤り率が上がるため、PLLの最も重要な性能指標の一つです。

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