最終更新 2026-10-19

シリコン量子ビットとは(スピン量子ビット)

Silicon Spin Qubit

シリコン量子ビット(スピン量子ビット)とは、シリコンの中に閉じ込めた電子1個のスピンの向きを、量子コンピュータの情報の単位として使う方式です。トランジスタとよく似た構造で作れるため、今の半導体工場の技術で大量に集積できると期待されています。極低温での動作と、ばらつきの抑制が課題です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

シリコン量子ビット(スピン量子ビット)とは、シリコンの中に閉じ込めた1個の電子(または正孔)が持つ「スピン」という性質の向きを、量子コンピュータの情報の単位(量子ビット)として使う方式です。スピンには上向きと下向きの2つの状態があり、量子力学ではその両方を重ね合わせた状態も取れます。電子1個を閉じ込める小さな箱(量子ドット)は、トランジスタとよく似たゲート電極の構造で作ります。

最大の特長は、今の半導体工場の技術で作れることです。超伝導方式の量子ビットは1個が数百μm角と大きいのに対し、シリコンのスピン量子ビットはトランジスタ並みの大きさで、将来100万個規模の量子ビットを1つのチップに集積するのに向いていると期待されています。Intelは300mmウェハのラインで12量子ビットのチップを試作し、日本では日立製作所や理化学研究所が研究を進めています。

電子のスピンは周りの原子核のスピンの影響で状態が乱れやすいため、核スピンを持たないシリコン28だけを集めた同位体濃縮シリコンを使うと、状態を長く保てるようになります。動作には1K(約マイナス272℃)前後以下の極低温が必要で、量子ビットを制御する回路を極低温で動かす技術や、量子ビットどうしの特性のばらつきを抑えることが課題です。

図解

シリコンの電子スピンを中心に、量子ドット・スピンの向き・製造・同位体濃縮・極低温・制御回路の要素を並べた図
動作温度は方式によって異なり、1K程度で動かす研究も進んでいる。

よくある質問(FAQ)

シリコン量子ビットと超伝導量子ビットの違いは?
超伝導量子ビットは、超伝導の回路に流れる電流の状態を使う方式で、現在最も多くの量子ビットが実証されていますが、1個が大きく集積が難しいとされます。シリコン量子ビットは電子のスピンを使い、トランジスタ並みに小さく作れるため、大規模な集積に向くと期待されています。
なぜ同位体濃縮シリコンを使うのですか?
天然のシリコンには、核スピンを持つシリコン29が約5%含まれており、その磁気的な影響で電子のスピンの状態が乱れやすくなります。核スピンを持たないシリコン28だけを集めた材料を使うと、量子ビットが状態を保てる時間(コヒーレンス時間)を大幅に延ばせます。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 応用物理学会「量子コンピュータを見据えたシリコン量子ビット高温動作の実現(応用物理 89巻5号)」(2026/10/19 確認)