半導体の原料・原材料一覧
最終更新:2026-10-03
要点
半導体の主な原料は珪石で、金属シリコン・多結晶シリコンを経て単結晶のウェハになります。チップを作る工程では、このウェハに加えて特殊ガス・薬液・フォトレジスト・CMPスラリー・金属ターゲット・パッケージの樹脂など数百種類の材料が使われます。上流の鉱物は中国に偏るものが多く、中間材料では日本企業が強い構図です。
工程別の主な材料と原料
| 区分 | 主な材料 | 原料・上流 | 主なメーカー(例) |
|---|---|---|---|
| 基板(ウェハ) | シリコンウェハ | 珪石→金属シリコン→多結晶シリコン→単結晶 | 信越化学工業、SUMCO、トクヤマ(Tokuyama) |
| 基板(ウェハ) | SiC・GaN・GaAs・InP基板 | SiC粉末、ガリウム・ヒ素・インジウム・リン | 住友電気工業(SiC・化合物半導体)、JX金属(JX Advanced Metals)、ローム(ROHM) |
| ガス | 窒素・アルゴン・水素・酸素・ヘリウム | 空気の分離、天然ガス(ヘリウム) | 大陽日酸(Taiyo Nippon Sanso)、エア・リキード(Air Liquide)、Air Products |
| ガス | 特殊ガス(SiH₄・NF₃・WF₆・NH₃・Cl₂・ネオンなど) | フッ素(蛍石)、塩素、希ガス | レゾナック(旧昭和電工)、大陽日酸(Taiyo Nippon Sanso)、エア・リキード(Air Liquide) |
| 薬液 | 硫酸・過酸化水素・フッ酸・アンモニア水・塩酸・IPA・TMAH | 硫黄、蛍石、天然ガスなど | ステラケミファ、関東化学(Kanto Chemical)、三菱ガス化学、トクヤマ(Tokuyama) |
| リソグラフィ | フォトレジスト・反射防止膜・現像液 | 樹脂・感光剤・溶剤 | 東京応化工業(TOK)、JSR、信越化学工業 |
| CMP | スラリー(シリカ・セリア)・研磨パッド | シリカ、セリウム(レアアース)、ポリウレタン | フジミインコーポレーテッド、レゾナック(旧昭和電工)、ニッタ・デュポン |
| 配線・電極 | スパッタリングターゲット(Cu・Ta・Ti・Co・W・Al・Ru・Mo) | 非鉄金属の精錬 | JX金属(JX Advanced Metals)、ULVAC(アルバック) |
| 配線・電極 | ALD・CVDの前駆体(ハフニウム・ジルコニウム・コバルトなど) | 金属の化合物 | エア・リキード(Air Liquide)、Merck KGaA(半導体材料) |
| パッケージ | 封止樹脂・パッケージ基板・ABFフィルム・はんだ・ボンディングワイヤ | エポキシ・シリカ・銅・スズ・銀・金 | レゾナック(旧昭和電工)、住友ベークライト、イビデン(IBIDEN)、日鉄マイクロメタル |
※ メーカーは代表例で、網羅するものではありません。
半導体の「原料」は主に珪石
半導体のチップの大部分を占めるシリコンの原料は、石英を多く含む珪石です。珪石を炭素で還元して純度98〜99%程度の金属シリコンを作り、化学的に精製して純度99.999999999%(イレブンナイン)級の多結晶シリコンに、さらに単結晶のインゴットに育ててウェハにします。チップを作る工程では、このウェハに加えて、数百種類のガス・薬液・金属・樹脂が使われます。
供給の偏りとリスク
原料の上流には、特定の国に生産が偏っているものが少なくありません。金属シリコン、ガリウム、ゲルマニウム、タングステン、レアアース(セリウムを含む)、黒鉛などは中国の比率が高く、2023年以降はガリウム・ゲルマニウムなどの輸出規制も実施されました。エキシマレーザーに使うネオンは、ウクライナが主要な供給地の一つだったことから、2022年以降に供給不安が生じました。一方で、高純度の薬液やフォトレジスト、ウェハなどの中間材料では日本企業が大きなシェアを持っています。詳しくは重要鉱物、ネオンガス、日本の半導体サプライチェーン地図を参照してください。