DBR(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ反射器)とは、屈折率の異なる2種類の薄い層を交互に何層も積み重ね、各層の界面で少しずつ反射した光を強め合わせることで、特定の波長の光を非常に高い割合で反射する鏡のことです。ブラッグ反射鏡、ブラッグミラーとも呼ばれます。金属の鏡と違って光の吸収がほとんどないため、99%を超える高い反射率が得られます。
DBRの原理は光の干渉です。各層の厚さを、その層の中での光の波長の4分の1(λ/4n、nは屈折率)にすると、各界面で反射した光の位相がそろって強め合います。層の屈折率の差が大きいほど、また層の数が多いほど反射率が高くなり、反射する波長の幅(ストップバンド)も屈折率の差で決まります。名前の由来であるブラッグの法則は、結晶の原子の面で反射したX線が強め合う条件(2d sinθ=nλ)を示したもので、周期的な構造で波が強く反射されるという点で共通しています。
半導体では、DBRは面発光レーザー(VCSEL)の上下の鏡として欠かせません。VCSELでは、GaAsとAlGaAsのように屈折率の違う化合物半導体の層を、MOCVDなどで数十層積み重ねてDBRとし、その間に発光層を挟んで共振器を作ります。VCSELはスマートフォンの顔認証やデータセンターの光通信に使われています。LEDでは、基板側へ向かう光を反射して取り出す光を増やすために、光検出器では特定の波長だけを感じるようにするためにDBRが使われます。誘電体の膜を交互に積んだDBRは、光学フィルタや反射防止膜にも応用されています。