フローティングゲート(浮遊ゲート)とは、フラッシュメモリのセルで電子をためて情報を記録するための、周りを絶縁膜で完全に囲まれた導電体(主にポリシリコン)の層です。トランジスタのゲートの下に、どこにも電気的につながっていない「浮いた」ゲートを1枚挟んだ構造で、ここに電子が入っているかどうかで、トランジスタのしきい値電圧が変わり、0と1を区別します。
書き込みでは、上の制御ゲートに高い電圧をかけて、電子に薄いトンネル酸化膜を通り抜けさせ(FNトンネル効果)、フローティングゲートに閉じ込めます。NORフラッシュではチャネルで加速した高エネルギーの電子(ホットエレクトロン)を注入する方式も使われます。電子は絶縁膜に囲まれているため、電源を切っても長期間逃げず、これが不揮発性の仕組みです。1967年にベル研究所のカーンとジーが提案し、その後の東芝によるフラッシュメモリの発明につながりました。
フローティングゲートは導電体なので、絶縁膜に1か所でも欠陥があると、ためた電子がそこからまとめて逃げてしまいます。また、セルどうしが近づくと隣のゲートの電荷が影響し合います。こうした理由から、3D NANDの多くは、電子を絶縁体(窒化シリコン)の中の欠陥に分散して捕まえる電荷トラップ方式に移りました。一方、Intel(現Solidigm)は3D NANDでもフローティングゲートを使い続け、NORフラッシュやマイコン内蔵のフラッシュでは今も主流です。