データリテンション(データ保持)とは、メモリに書き込んだデータを、電源を切った状態でどれだけの期間正しく保てるかを表す特性です。フラッシュメモリなどの不揮発性メモリでは「85℃で10年」「55℃で1年」のように、温度と期間の組み合わせで仕様が示されます。DRAMの場合は、電源が入っている状態でリフレッシュなしに電荷を保てる時間を指すこともあります。
フラッシュメモリのセルは、フローティングゲートや電荷トラップ膜に電子を閉じ込めて情報を記録します。時間がたつと、電子が絶縁膜を通り抜けたり、膜中の欠陥を伝って逃げたりして、セルのしきい値電圧が少しずつずれていきます。ずれが読み出しの判定の幅を超えると、データが化けます。電子が逃げる速さは温度が高いほど速いため、保持期間は温度に強く依存します。
製品の評価では、何年も待つ代わりに高温に置いて劣化を早め、アレニウスの式で実際の使用温度での期間に換算する加速試験が使われます。データリテンションは、書き換えを重ねて絶縁膜が傷んだセルほど短くなるため、エンデュランスと組み合わせて評価します。車載用のマイコンに内蔵するフラッシュのように、長期間の保持と高温動作の両方が求められる用途では特に重要です。