FWD(Free Wheeling Diode:還流ダイオード)とは、モーターなどのコイル(インダクタ)を含む回路で、スイッチがオフになった瞬間に、コイルに流れていた電流の逃げ道を作るためのダイオードです。コイルには電流を流し続けようとする性質があり、スイッチを急に切ると高い電圧が発生してスイッチの素子を壊してしまいます。FWDはその電流をぐるりと回して流し続けさせ(還流)、電圧の跳ね上がりを防ぎます。
インバーターでは、IGBTやMOSFETの1つ1つに、逆向きにFWDを並列につなぎます。IGBTは構造上、逆方向に電流を流せないため、別のダイオードが欠かせません。パワーモジュールの中には、IGBTのチップとFWDのチップが対になって並んでいます。MOSFETの場合は、構造の中に寄生的にできるボディダイオードをFWDとして使うこともあります。
FWDに求められる重要な特性が逆回復です。オンで電流が流れていたダイオードを逆向きの電圧に切り替えると、残っていた電荷が抜けるまでの短い間、逆向きに電流が流れ、これが損失とノイズの原因になります。そこで、逆回復の速い高速ダイオード(FRD)や、逆回復がほとんどないSiCのショットキーバリアダイオードが使われます。IGBTとFWDを1つのチップにまとめたRC-IGBT(逆導通IGBT)もあります。