LDMOS(Laterally Diffused MOS:横型拡散MOS)とは、電流がウェハの表面に沿って横方向に流れる構造のパワーMOSFETです。ドレインの近くに、不純物の濃度を低くした長い領域(ドリフト領域)を横向きに設け、高い電圧をこの領域で受け止めることで、通常のMOSFETより高い電圧に耐えられるようにしています。チャネルの部分は、不純物を拡散させて短く作ることから「拡散MOS」と呼ばれます。
LDMOSの大きな利点は、すべての電極がウェハの表面にあるため、通常のCMOSの回路と同じチップの上に作りやすいことです。この性質を生かして、バイポーラトランジスタ、CMOS、DMOS(LDMOS)を1つのチップにまとめたBCDプロセスが作られ、電源の制御IC、モーターのドライバ、車載用のICなど、数十Vまでの電圧を扱うアナログ・パワーのICで広く使われています。
もう1つの代表的な用途が、高周波の電力増幅器です。LDMOSは高い電力を効率よく増幅でき、長く携帯電話の基地局の送信用の増幅器の主役でした。ただし、より高い周波数と効率が求められる5Gの世代では、GaNのHEMTに置き換わりつつあります。一方、数百V以上の電圧を扱う用途では、電流を縦に流すトレンチMOSFETやスーパージャンクションMOSFET、SiCが使われます。