両面冷却とは、パワー半導体のチップの上と下の両方の面から熱を逃がす、パワーモジュールの構造です。一般的なパワーモジュールでは、チップの下の面を絶縁基板とベース板に接合し、そこから冷却器へ熱を逃がします(片面冷却)。チップの上の面は細いアルミのワイヤで配線するだけなので、熱はほとんど下からしか逃げません。両面冷却では、チップの上の面にも金属の板を接合し、上下から冷やします。
熱の出口が2つになるため、チップから冷却器までの熱抵抗を大きく下げられ、同じチップでもより大きな電流を流せたり、チップを小さくできたりします。上の面の配線にワイヤを使わず、厚い銅の板や部品(スペーサー)をはんだや銀焼結で接合するため、ワイヤの接合部が温度の変化で疲労して剥がれる不良も起きにくくなり、寿命も延びます。配線の長さが短くなり、寄生インダクタンスが小さくなる利点もあります。
自動車向けで早くから実用化されており、デンソーは2000年代からハイブリッド車のインバーター向けに、チップを上下から挟んで冷やすパワーカードを量産してきました。電気自動車の普及とSiCの採用で、小さなチップから大きな熱を逃がす必要が高まり、各社が両面冷却の構造を採用しています。上下の両面を平らに精度よく作ることと、冷却器との間の絶縁を確保することが、製造上のポイントです。