用語パワー半導体SiCパワー半導体製造装置最終更新 2026-10-10出典 1件Excel・PDF版

ボディダイオード(寄生ダイオード)とは

Body Diode

ボディダイオードとは、MOSFETのp型ボディとn型ドレインの間に必然的にできる寄生のpn接合ダイオードです。ブリッジ回路の還流ダイオードとして使えますが、逆回復が大きいとスイッチング損失や破壊の原因になります。SiC MOSFETでは順方向電圧が約3Vと高く、通電による積層欠陥の拡大(バイポーラ劣化)への対策が必要です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

ボディダイオードとは、MOSFETの構造の中に必然的にできるpn接合ダイオードのことで、寄生ダイオードや内蔵ダイオードとも呼ばれます。nチャネルのパワーMOSFETでは、p型のボディ(ウェル)とn型のドレインの間にpn接合があり、ボディはソースとつながっているため、ソースからドレインの向きに電流を流すダイオードが、トランジスタと並列に存在することになります。

インバータやモーター駆動のブリッジ回路では、トランジスタをオフにした瞬間に、コイルの電流を逃がす還流ダイオード(フリーホイールダイオード)が必要です。MOSFETではボディダイオードがこの役割を担えるため、別のダイオードを追加せずに回路を作れます。一方、IGBTは構造上ボディダイオードを持たないため、還流用のダイオード(FWD)を同じパッケージに組み合わせて使います。ボディダイオードに電流を流す時間を減らして損失を下げるため、還流の期間にMOSFET自身をオンにしてチャネルに電流を流す同期整流もよく使われます。

ボディダイオードはpn接合ダイオードなので逆回復があり、特にシリコンのスーパージャンクションMOSFETでは逆回復電荷が大きく、ブリッジ回路で損失や素子の破壊の原因になることがあります。そのため、ライフタイム制御でボディダイオードの逆回復を速くした製品も作られています。SiC MOSFETのボディダイオードは逆回復が小さい一方、順方向電圧が3V前後と高く、さらに順方向に電流を流し続けると、結晶中の基底面転位が積層欠陥に広がってオン抵抗などが悪化するバイポーラ劣化が知られています。この対策として、エピタキシャル層の品質改善や、SiCのショットキーバリアダイオードを内蔵した製品が開発されています。

図解

MOSFETのボディダイオード(寄生ダイオード)の使い方と注意点
構造上なくせないため、回路の設計で上手に扱う。

よくある質問(FAQ)

MOSFETにボディダイオードができるのはなぜですか?
パワーMOSFETでは、チャネルを作るp型のボディ(ウェル)とn型のドレインの間にpn接合があり、しかもボディがソース電極とつながっているためです。この結果、ソースからドレインに向かって電流を流すダイオードが、トランジスタと並列に必ず存在します。
SiC MOSFETのバイポーラ劣化とは何ですか?
SiC MOSFETのボディダイオードに順方向の電流を流し続けると、電子と正孔の再結合のエネルギーで、結晶中の基底面転位が積層欠陥へと広がる現象です。欠陥が広がるとオン抵抗や順方向電圧が増加するため、エピタキシャル層の欠陥の低減や、ショットキーダイオードの内蔵などで対策します。

設備の製造メーカー

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

パワーデバイス・パワーエレクトロニクス のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

三菱電機(半導体)日本富士電機日本Wolfspeed米国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東芝デバイス&ストレージ「3-26. MOSFET:ボディーダイオード」(2026/10/10 確認)