最終更新 2026-10-19

負性容量FETとは(NCFET)

Negative Capacitance FET (NCFET)

負性容量FET(NCFET)とは、トランジスタのゲート絶縁膜に強誘電体の層を加え、その負の容量の性質でゲート電圧を内部で増幅しようとする次世代のトランジスタです。MOSFETの下限である60mV/decより急峻に切り替えられ、電源電圧を下げられると期待されています。ハフニウム系の強誘電体(HZO)が有力な材料です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

負性容量FET(NCFET:Negative Capacitance FET)とは、トランジスタのゲート絶縁膜に強誘電体の層を加え、その「負の容量」の性質を使って、ゲートにかけた電圧より大きな電圧をチャネルに伝えようとする次世代のトランジスタです。2008年にカリフォルニア大学バークレー校のサラフディンとパデュー大学のダッタが提案しました。

強誘電体は、ある条件で電圧を上げると蓄えた電荷が逆に減るように見える、負の容量の振る舞いを示すことがあります。この層を通常のゲート絶縁膜と直列につなぐと、チャネルの表面の電位がゲート電圧より大きく動き、内部で電圧が増幅されたような効果が得られます。その結果、MOSFETの室温での下限である60mV/decより急峻に電流を切り替えられ、電源電圧を下げて消費電力を減らせると期待されています。

強誘電体として有力なのは、既存の製造工程と相性のよいハフニウム系の酸化膜(HZOなど)です。ハフニウム酸化膜が強誘電性を示すことは2011年に報告され、ここから研究が一気に進みました。一方で、本当に負の容量が働いているのか、それとも別の効果なのかについては今も議論があり、動作の速さやヒステリシス(行きと帰りで特性がずれること)、ばらつきの制御が実用化への課題です。

図解

ゲート電極、強誘電体、ゲート絶縁膜、シリコンチャネルを重ねた負性容量FETのゲート構造
強誘電体とゲート絶縁膜の間に金属層を挟む構造も研究されている。

よくある質問(FAQ)

NCFETとTFETの違いは何ですか?
どちらも60mV/decの下限を超えることをめざしますが、方法が違います。TFETは電子が壁をすり抜けるトンネル効果で電流の流れ方そのものを変え、NCFETはMOSFETの電流の仕組みはそのままに、強誘電体でゲートの電圧を内部で増幅します。NCFETはオン電流の低下が起きにくいとされます。
NCFETとFeRAMはどう違いますか?
どちらもハフニウム系などの強誘電体を使いますが、目的が違います。FeRAMは強誘電体の分極の向きでデータを記憶するメモリです。NCFETは記憶のためではなく、強誘電体の性質を使ってトランジスタの切り替えを急峻にし、消費電力を減らすことを目的としています。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. カリフォルニア大学バークレー校 EECS「Design of Negative Capacitance Field-Effect Transistor(Technical Report No. UCB/EECS-2020-60)」(2026/10/19 確認)