最終更新 2026-10-19

PBTIとは(正バイアス温度不安定性)

Positive Bias Temperature Instability (PBTI)

PBTI(正バイアス温度不安定性)とは、主にnMOSトランジスタのゲートに正の電圧を高い温度でかけ続けると、しきい値電圧が少しずつ上がって電流が減る劣化です。ゲート絶縁膜にHigh-k膜を使うようになってから、膜の中の欠陥に電子が捕まることで大きな問題になりました。pMOSで起こるNBTIと対になる現象です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

PBTI(Positive Bias Temperature Instability:正バイアス温度不安定性)とは、主にnMOSトランジスタのゲートに正の電圧をかけたまま、高い温度で長い時間使い続けると、しきい値電圧が少しずつ上がり、流れる電流が減っていく劣化の現象です。pMOSで負の電圧をかけたときに起こるNBTIと対になる現象で、まとめてBTI(バイアス温度不安定性)と呼ばれます。

シリコン酸化膜のゲート絶縁膜を使っていた時代には、PBTIはほとんど問題になりませんでした。しかし、45nm世代のころからゲート絶縁膜に酸化ハフニウムなどのHigh-k膜が使われるようになると、nMOSでも大きな劣化が見られるようになりました。High-k膜の中には電子を捕まえる欠陥(トラップ)が多く、ゲートに正の電圧をかけると、チャネルの電子が絶縁膜の中のトラップに捕まります。捕まった電子が負の電荷として働くため、トランジスタをオンにするのにより高い電圧が必要になります。

BTIの劣化は、電圧を外すと一部が元に戻る(回復する)性質があり、測定のタイミングで結果が変わるため、評価には注意が必要です。対策として、High-k膜の成膜や熱処理の条件を工夫して欠陥を減らすこと、ゲートの金属や界面の層の材料を最適化することが行われています。回路の設計では、製品の寿命の間にしきい値電圧がどれだけずれるかを見込んで、動作の余裕を確保します。SiCのMOSFETでも、ゲート酸化膜の界面の欠陥によるしきい値電圧の変動が重要な課題です。

図解

NBTIとPBTIを、起こるトランジスタ・ゲートの電圧・主な原因・問題になった時期で比較した表
どちらも電圧を外すと一部が回復する性質がある。

よくある質問(FAQ)

PBTIとNBTIの違いは何ですか?
NBTIは主にpMOSのゲートに負の電圧をかけたときに起こり、シリコンと絶縁膜の界面の結合が切れたり、正孔が捕まったりして劣化します。PBTIは主にnMOSのゲートに正の電圧をかけたときに起こり、High-k膜の中の欠陥に電子が捕まって劣化します。どちらもしきい値電圧の絶対値が大きくなり、電流が減ります。
BTIの劣化が回復するとはどういうことですか?
ゲートの電圧を外すと、捕まっていた電荷の一部が抜けて、しきい値電圧のずれが少し元に戻る現象です。そのため、電圧をかけるのをやめてから測るまでの時間が長いほど、劣化が小さく見えます。正しく評価するには、電圧を外した直後に素早く測る方法が使われます。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 日本信頼性学会「高誘電率ゲート絶縁膜の信頼性(信頼性 29巻4号)」(2026/10/19 確認)
  2. 京都工芸繊維大学 小林研究室「Trap and De-trapモデルを用いたNBTIとPBTIによる遅延劣化のDF依存性の解析」(2026/10/19 確認)