固溶度(固溶限)とは、ある温度で結晶の中に溶け込ませることのできる不純物の最大の濃度です。砂糖を水に溶かすと限界があるように、シリコンにホウ素やリンを入れられる量にも限りがあり、それを超えた分は析出したり、原子どうしが固まり(クラスター)を作ったりして、電気的に働かなくなります。
シリコン中の主なドーパントの最大固溶度は、おおよそヒ素・リンで10^21個/cm³程度、ホウ素で数×10^20個/cm³です。多くの不純物は1,100〜1,300℃付近で固溶度が最大になり、それより高温でも低温でも下がる「逆行性」の形を示します。ソース・ドレインの抵抗を下げたくても、ドーパントの活性化率は基本的に固溶度で頭打ちになります。
この限界を超えるために、レーザーアニールやフラッシュランプアニールのように、ごく短時間だけ高温にして急冷する方法が使われます。不純物が固まる前に冷やすことで、固溶度を超えた濃度を一時的に(準安定に)活性化させられます。一方、銅や鉄などの金属不純物は高温で溶け込み、冷えると固溶度が急に下がって析出するため、この性質を利用して不要な金属を特定の場所に集めるのがゲッタリングです。