最終更新 2026-10-19

高エネルギーイオン注入とは

High Energy Ion Implantation

高エネルギーイオン注入とは、イオンを数百keVから数MeVまで加速して打ち込み、シリコンの表面から数μmの深いところに不純物の層を作る技術です。CMOSの深いウェルや、CMOSイメージセンサーの深いフォトダイオードと画素の分離層、パワー半導体の深い層の形成に使われます。深い層を守るには厚いマスクも必要です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

高エネルギーイオン注入とは、イオンを数百keVから数MeV(メガ電子ボルト)という高いエネルギーまで加速してウェハに打ち込み、シリコンの表面から数μmの深いところに不純物の層を作る技術です。イオンが入る深さ(飛程)はエネルギーにほぼ比例して深くなるため、深い層を作るには高いエネルギーが必要になります。

代表的な用途は、CMOSのウェル(トランジスタを作る土台となる不純物の領域)です。深いところほど濃度が高くなるレトログレードウェルを高エネルギー注入で作ると、ラッチアップに強くなり、長い時間の熱拡散でウェルを作る工程を省けます。CMOSイメージセンサーでは、光を電気に変えるフォトダイオードを深くまで作り、隣の画素との間を深い分離層で区切るために使われます。光が深くまで届く長い波長の光の感度を上げ、画素どうしの混色を防ぐためです。パワー半導体の深い層の形成にも使われます。

高いエネルギーまでイオンを加速するには、高電圧を何段にも分けてかけるタンデム型や、高周波の電界で少しずつ加速する線形加速器(リニアック)型の装置が使われます。深い層を作るには、浅い場所に打ち込みたくない部分を守るマスクも厚くする必要があり、厚いレジストやハードマスクが使われます。注入の深さを正確にそろえるため、エネルギーの精度と、結晶の隙間を通って深く入ってしまうチャネリングの管理が重要です。

図解

イオン注入の加速エネルギーを対数軸で並べ、極低エネルギーから MeV 級までの用途を示した図
エネルギーと深さの関係はイオンの種類によって異なる。

よくある質問(FAQ)

なぜCMOSイメージセンサーで高エネルギー注入が必要なのですか?
赤や近赤外などの長い波長の光はシリコンの深くまで入ってから電気に変わるため、フォトダイオードを深くまで作ると感度が上がるからです。また、隣の画素との間を深い分離層で区切ることで、発生した電子が隣の画素に漏れて色が混ざるのを防げます。
高エネルギー注入の装置は通常の装置と何が違いますか?
通常のイオン注入装置は数keVから数百keVまでの加速が中心ですが、高エネルギー注入では数MeVまで加速する必要があります。そのため、高電圧を何段にも分けてかけるタンデム型や、高周波の電界で少しずつ加速するリニアック型の加速器を備えた専用の装置が使われます。

設備の製造メーカー

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