最終更新 2026-10-19

トンネルFETとは(TFET)

Tunnel Field-Effect Transistor (TFET)

トンネルFET(TFET)とは、電子がエネルギーの壁をすり抜けるトンネル効果を使って電流を切り替えるトランジスタです。MOSFETの「電流を10倍にするには約60mV必要」という下限に縛られず、低い電圧で急峻に切り替えられる可能性があります。一方、オンのときの電流が小さいことが最大の課題で、まだ研究段階です。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

トンネルFET(TFET)とは、電子がエネルギーの壁を量子力学的にすり抜けるトンネル効果を使って、電流のオンとオフを切り替えるトランジスタです。通常のMOSFETより小さな電圧変化で電流を切り替えられる可能性があり、消費電力を大幅に下げられる次世代の素子として研究されています。ソースをp型、ドレインをn型にしたpin構造が基本で、ゲートの電圧で、ソースとチャネルの間のバンド(エネルギーの帯)の重なりを制御します。

MOSFETには、室温では電流を10倍にするのに少なくとも約60mVのゲート電圧が必要という理論上の下限(サブスレッショルドスイングの60mV/dec)があります。これは、ソースから熱エネルギーで壁を越えてくる電子の数で電流が決まるためです。TFETでは、電子が壁を越えるのではなくすり抜けるため、この下限に縛られず、60mV/decより急峻に切り替えられます。電源電圧を下げてもオンとオフの差を確保でき、待機時のリーク電流も小さくできます。

最大の課題は、オンのときに流れる電流が小さいことです。トンネル効果で通り抜けられる電子の量には限りがあり、シリコンではMOSFETに比べて電流が桁違いに小さくなります。バンドギャップの小さいゲルマニウムやIII-V族化合物、二次元材料、異なる材料を組み合わせるヘテロ接合などで電流を増やす研究が続けられていますが、量産の見通しは立っていません。

図解

MOSFETとトンネルFETを、電流の仕組み・構造・切り替えの急峻さ・オン電流で比較した表
60mV/decは室温でのサブスレッショルドスイングの理論下限。

紛らわしい言葉の切り分け

トンネルFETとMOSFET。違いは電子がソースからチャネルへ移る仕組みです。MOSFETは熱エネルギーで壁を越えた電子で動き、室温では約60mV/decより急峻に切り替えられません。トンネルFETはトンネル効果で壁をすり抜けた電子で動くためこの下限を超えられますが、オン電流が小さいことが課題です。 比較記事 →

よくある質問(FAQ)

TFETとMOSFETの一番の違いは何ですか?
電子がソースからチャネルへ移る仕組みが違います。MOSFETでは熱エネルギーで壁を越えた電子が電流になり、TFETではトンネル効果で壁をすり抜けた電子が電流になります。この違いにより、TFETは小さな電圧変化で電流を切り替えられる可能性がありますが、流せる電流は小さくなります。
TFETはいつ実用化されますか?
オン電流の小ささという根本的な課題が残っており、量産の見通しは立っていません。低消費電力が最優先のセンサーやIoTの回路など、大きな電流を必要としない用途から検討されていますが、当面はGAAやCFETといったMOSFETの延長の技術が主流です。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. 応用物理学会「トンネルFETへの期待と将来展望(応用物理 88巻6号)」(2026/10/19 確認)