最終更新 2026-10-19

ラマン分光法とは

Raman Spectroscopy

ラマン分光法とは、物質にレーザー光を当て、原子の振動の分だけ波長がずれて散乱される光を測り、結晶の状態や応力、組成を調べる分析方法です。シリコンは約520cm⁻¹にピークを持ち、そのずれから応力の大きさが分かります。SiGeの組成、SiCの結晶の種類、グラフェンの層の数などの評価にも使われます。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

ラマン分光法とは、物質にレーザー光を当てたとき、散乱される光のごく一部が、物質の原子の振動(格子振動、フォノン)の分だけ色(波長)を変えて出てくるラマン散乱を測り、物質の結晶の状態や応力、組成を調べる分析方法です。散乱光の波長のずれ(ラマンシフト)は、原子どうしの結合の強さや結晶の構造で決まるため、物質の「指紋」のように使えます。

半導体で特によく使われるのが、応力(ひずみ)の測定です。シリコンの結晶はラマンシフトで約520cm⁻¹の位置に鋭いピークを持ち、結晶が引っ張られると低い側へ、押し縮められると高い側へずれます。ずれの大きさから、ひずみシリコンのチャネルや、トレンチ・TSVの周りに生じた応力の大きさを見積もれます。レーザーを1μm程度に絞れるため、場所ごとの応力の分布を地図のように描くこともできます。

このほか、SiGeのゲルマニウムの割合、SiCの結晶の種類(ポリタイプ)や結晶の乱れ、グラフェンの層の数や欠陥、アモルファスと結晶の区別などにも使われます。試料を壊さず、大気中で前処理なしに測れるのが利点です。一方、ラマン散乱の光は非常に弱いため、強い蛍光を出す試料では測りにくく、レーザーの熱で試料の状態が変わらないよう出力の管理も必要です。

図解

ラマン分光法で分かる応力、組成、結晶の種類と品質、二次元材料の評価の一覧
ピークの位置や応力との換算係数は材料と結晶方位で異なる。

よくある質問(FAQ)

ラマン分光法で応力が分かるのはなぜですか?
結晶に応力がかかると原子の間隔が変わり、原子どうしの振動の周波数も変わるためです。シリコンでは、引っ張りの応力でラマンのピークが低い側へ、圧縮の応力で高い側へずれます。ずれの量と応力の関係をあらかじめ求めておけば、ピークの位置から応力の大きさを見積もれます。
ラマン分光法とフォトルミネセンスの違いは何ですか?
どちらもレーザー光を当てて出てくる光を測りますが、ラマン分光法は原子の振動による散乱光を、フォトルミネセンスは電子が励起されて元に戻るときに出る発光を測ります。ラマンは結晶の構造や応力、フォトルミネセンスはバンドギャップや欠陥の準位、結晶の品質を調べるのに向いています。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. 東レリサーチセンター「ラマン分光法(Raman Spectroscopy:Raman)」(2026/10/19 確認)