解離とは、分子が結合を切られてより小さな断片(原子やラジカル)に分かれることです。プラズマの中では、加速された電子が分子にぶつかることで解離が起こり、エッチングや成膜の化学反応を担うラジカルが作られます。たとえば四フッ化炭素(CF4)が解離すると、CF3・CF2などの断片とフッ素原子(F)ができます。
分子を解離させるのに必要なエネルギーは、電子を取り去って電離させるのに必要なエネルギーより小さいことが多いため、プラズマの中ではイオンよりはるかに多くのラジカルが作られます。どの断片がどれだけできるか(解離の度合い)は、プラズマの密度や電子のエネルギー、圧力によって変わり、これがエッチングの性質を大きく左右します。
フルオロカーボンのガスで酸化膜をエッチングする場合、解離が進みすぎるとフッ素原子が増えて下地のシリコンまで削りやすくなり、選択比が下がります。解離をほどほどに抑えると、CF2などの断片が側壁や下地に保護膜(ポリマー)を作り、選択比と形状を保てます。高密度のICPは解離が進みやすく、CCPは比較的穏やかという違いがあり、装置とガスの組み合わせで解離を制御します。チャンバーのクリーニングでは、NF3を別の場所のプラズマ(リモートプラズマ)で十分に解離させ、フッ素原子だけを送り込みます。