等方性エッチングとは、すべての方向に同じ速さで材料が削れるエッチングで、異方性エッチングとは、特定の方向(ふつうは深さの方向)に強く削れ、横にはほとんど削れないエッチングです。マスクの開口から削り始めたとき、等方性では横にも同じだけ広がってマスクの下まで削れ(アンダーカット)、断面は丸くえぐれた形になります。異方性では、マスクの形をそのまま下へ写した垂直な壁になります。
等方性になる代表は、薬液で溶かすウェットエッチングと、プラズマの中のラジカル(中性の粒子)だけで削るエッチングです。どちらも粒子があらゆる方向から表面に当たるためです。一方、RIE(反応性イオンエッチング)などのドライエッチングでは、電界で加速したイオンが基板に垂直に飛んできて底を集中的にたたき、側壁には保護の膜が付くため、異方性になります。例外として、シリコンをKOHなどのアルカリで溶かすと、結晶の面によって溶ける速さが大きく違うため、薬液でも結晶の向きに沿った異方性の形(54.7度の斜面など)になります。
微細なパターンをそのまま転写するには異方性が欠かせず、現在の前工程のパターン加工の多くはドライエッチングで行われます。一方、等方性のエッチングは、横に削れても問題のない膜の全面除去や、角を丸める処理、構造の下を削って浮かせるMEMSのリリース工程、選択比を高くしたい場面で使われます。横に削れる量と縦に削れる量の比で、異方性の度合いを表します。