EHS(Environment, Health and Safety:環境・安全衛生)とは、事業活動が環境に与える影響を減らし、働く人の健康と安全を守るための取り組みや、それを担う部門のことです。ESH、HSE、SHEとも呼ばれ、語順が違っても同じ意味で使われます。半導体の工場は、毒性・可燃性のガス、強い酸やアルカリの薬品、高電圧、放射線やレーザー、大量の水とエネルギーを扱うため、EHSが特に重視される産業です。
半導体の工場の安全衛生では、特殊ガスや薬液の漏洩を防ぎ、万一の際に被害を広げないことが中心になります。ガスキャビネットや漏洩検知、緊急遮断、排気の設備を備え、作業者には保護具の着用や手順の教育を徹底します。製造装置には、SEMI S2をはじめとする安全ガイドラインに沿った設計が求められます。化学物質の取り扱いは、日本では労働安全衛生法や化学物質の排出量を把握するPRTR制度などの法規に従って管理されます。
環境の面では、温室効果ガス、水、エネルギー、化学物質の管理が大きな課題です。エッチングや装置の清掃に使うCF₄やNF₃、SF₆などのフッ素系ガスは、二酸化炭素の数千〜数万倍の温室効果を持つため、除害装置で分解して排出を減らし、温室効果の小さい代替ガスへの切り替えも進められています。超純水を大量に使うため、排水の処理と再利用で水の使用量を減らし、工場の電力の再生可能エネルギーへの転換も求められています。近年は、分解しにくい有機フッ素化合物(PFAS)の規制の動向も、材料の選択に影響しています。