転位密度(Dislocation Density)とは、結晶の中に含まれる転位(線状の結晶欠陥)の多さを表す値で、単位面積を貫く転位の本数(個/cm²)で表すのが一般的です。転位密度を求める代表的な方法が、結晶を特定の薬液でエッチングし、転位が表面に出ている場所だけが速く溶けてできる小さなくぼみ(エッチピット)を数える方法で、こうして求めた値をエッチピット密度(EPD:Etch Pit Density)と呼びます。
転位のある場所は、原子の並びが乱れてひずんでいるため、周りより化学的に溶けやすくなっています。結晶の種類ごとに、転位の場所を選んで溶かす薬液(選択エッチング液)が決まっており、たとえばSiCでは溶かした水酸化カリウム(KOH)が使われます。エッチピットの形と大きさから、転位の種類(らせん転位・刃状転位・基底面転位など)を見分けることもできます。顕微鏡でピットの数を数えて面積で割ればEPDになり、ウェハ全面の分布を地図にして結晶の品質を評価します。破壊せずに転位を観察する方法として、X線トポグラフィも使われます。
転位密度は、基板の材料によって大きく異なります。シリコンの単結晶は、ネッキングなどの技術によって転位をほぼ含まない状態で作られます。一方、GaAsやInPなどの化合物半導体は転位が入りやすく、育て方で密度が変わり、温度の勾配を小さくできる垂直ブリッジマン法などで低い転位密度の結晶が作られています。SiC基板では、デバイスの劣化につながる基底面転位などを減らすことが大きな課題で、異なる材料の基板の上に成長させたGaNの膜は、格子の不整合のために転位密度が非常に高くなります。転位は、リーク電流の増加やデバイスの寿命の低下につながるため、基板の重要な品質指標です。