垂直ブリッジマン法(VB法:Vertical Bridgman Method)とは、るつぼの中で原料を溶かした融液を、温度の勾配がある炉の中でゆっくり移動させ、るつぼの底に置いた種結晶の側から順に固めて単結晶を育てる結晶成長の方法です。米国の物理学者ブリッジマンが考案した方法を、るつぼを縦(垂直)にして行うものです。炉を動かさずに、ヒーターの温度の分布を時間とともに変えて底から固めていく方法は、垂直温度勾配凝固法(VGF法)と呼ばれ、VB法とあわせて広く使われています。
VB法・VGF法は、主にGaAs(ガリウムヒ素)やInP(リン化インジウム)などの化合物半導体の単結晶基板の製造に使われます。シリコンで主流のチョクラルスキー法(CZ法)は、融液から結晶を引き上げるため、引き上げた結晶の中に大きな温度差が生じます。化合物半導体の結晶はシリコンより壊れやすく、熱応力で転位(結晶の欠陥)が入りやすいため、温度の勾配を小さく保ったまま、るつぼの中で静かに固められるVB法・VGF法のほうが、転位の密度の低い結晶を得られます。ヒ素やリンのように蒸発しやすい成分は、酸化ホウ素(B₂O₃)の液体で融液の表面を覆うなどして逃がさないようにします。
VB法・VGF法で作ったGaAs基板は、スマートフォンの高周波部品、LEDや半導体レーザー、VCSELなどに、InP基板は光通信用のレーザーや受光素子、高速の電子デバイスに使われます。一方、結晶がるつぼの壁に接したまま固まるため、壁からの欠陥の発生や、るつぼと結晶の反応・付着を防ぐ工夫が必要で、成長にも長い時間がかかります。大口径の結晶を作るほど温度の均一な制御が難しくなります。