MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシー)とは、超高真空の容器の中で、ガリウムやヒ素などの原料を加熱して原子や分子の流れ(分子線)にして基板に吹き付け、基板の結晶の並びにそろえて薄い単結晶の膜を1原子層ずつ成長させる方法です。化合物半導体の研究や、原子レベルで厚さをそろえる必要があるデバイスの製造に使われます。
原料は、るつぼを電気で加熱する蒸発源(クヌーセンセル)に入れ、出口のシャッターを開け閉めして、分子線を出したり止めたりします。圧力は10のマイナス8乗Pa程度以下の超高真空に保たれ、飛んだ原子は他の気体の分子にぶつからずにまっすぐ基板に届きます。成長の速さは1時間に1μm程度とゆっくりで、シャッターの開閉で層の境目を原子1層の精度で切り替えられます。成長中に電子線を表面に当てて回折の模様を見るRHEEDで、表面の状態や層の数をその場で確かめられるのも特長です。
このため、薄い層を何層も重ねる量子井戸や超格子、HEMTの電子が走る界面、半導体レーザー、量子ドットなど、界面の急峻さが性能を決めるデバイスに向いています。一方、超高真空の維持に手間がかかり、一度に成長できるウェハの枚数も少ないため、LEDやパワー用のGaNのような大量生産には、ガスを原料とするMOCVDが主に使われます。