フィレットとは、接合部の角や隅にできる、なだらかな曲面状の盛り上がりのことです。英語で「隅肉」を意味し、機械設計では角を丸める加工も指しますが、半導体の実装では、はんだ・接着剤・アンダーフィル樹脂などが部品の側面と基板の間に這い上がってできる、裾の広がった形を指します。フィレットの形や大きさは、接合がうまくできているかを外から判断する重要な手がかりになります。
代表的なのははんだフィレットで、部品のリードや電極と基板のランドの間に、はんだが濡れ広がってできます。はんだが十分に濡れていれば、なだらかな凹型のフィレットができ、盛り上がりが無い・凸型に丸まっている場合は濡れ不良が疑われます。外観検査装置(AOI)はこのフィレットを画像で検査します。QFNのように端子がパッケージの下に隠れる部品ではフィレットが見えにくいため、端子の側面にめっきを施してフィレットを形成しやすくしたウェッタブルフランクと呼ばれる構造があり、目視検査が求められる車載用途で採用されています。
ダイボンディングでは、チップを接着するペーストがチップの周囲に適度にはみ出してフィレットを作ることで、接着強度が高まります。はみ出しが多すぎるとチップの上面まで這い上がって電極を汚し、少なすぎると接着不足になるため、塗布量を管理します。フリップチップのアンダーフィルでも、チップの周囲にできるフィレットの高さと幅が、チップの角にかかる応力の緩和や信頼性に影響します。フィレットが過大だと隣接部品や放熱用のふたに干渉し、不足するとチップの角から亀裂が入りやすくなるため、ディスペンサでの塗布量と塗布経路を最適化します。