ワイヤプル試験とは、ワイヤボンディングしたワイヤのループの下にフック(かぎ状の治具)を掛けて上に引っ張り、ワイヤが切れる・剥がれるときの力(プル強度)と壊れ方を調べる試験です。プルテストとも呼び、ワイヤボンディングの接合の品質を管理する最も基本的な試験です。専用の装置であるボンドテスターを使って行います。
評価では、破断したときの力の値に加えて、どこで壊れたか(破断モード)を記録します。代表的な破断モードは、チップ側の接合部が剥がれるボールリフト、ボールの付け根のワイヤが切れるネック切れ、ワイヤの途中が切れるワイヤ切れ、リード側の接合部の付け根が切れるステッチ切れ、リード側の接合部が剥がれるステッチリフトなどです。ワイヤ自体が途中やネックで切れる場合は接合が十分に強いことを示し、接合部が剥がれる場合は接合条件や表面の汚れに問題があると判断します。試験方法と、ワイヤの太さごとの最小強度は、米国の軍用規格MIL-STD-883(Method 2011)などで定められています。
プル強度はフックを掛ける位置やループの形によって変わるため、フックの位置を一定にして比較します。ワイヤプル試験はワイヤを壊す破壊試験が基本ですが、決められた力まで引っ張って異常がないことを確かめる非破壊プル試験もあり、高信頼性の製品の全数検査などに使われます。チップ側のボール接合部の強さは、ワイヤプル試験だけでは分かりにくいため、ボールを横から押して剥がすシェア試験と組み合わせて評価します。