ワイヤスイープとは、ワイヤボンディングしたチップを樹脂で封止する(モールドする)ときに、流れ込む樹脂に押されてボンディングワイヤが変形・移動する現象です。ワイヤ流れとも呼びます。変形が大きいと、隣のワイヤと接触して短絡したり、ワイヤがチップの端に触れたり、接合部が剥がれたりして不良になります。
主な封止方法であるトランスファーモールドでは、加熱して溶かしたエポキシ樹脂(モールドコンパウンド)を、金型の中へ数秒〜十数秒で高速に押し込みます。このとき流れる樹脂がワイヤに抗力を加え、ワイヤを流れの方向に曲げます。変形の大きさは、樹脂の粘度(硬化が進むと上がる)と流速、ワイヤの長さ・太さ・ループの高さ、ワイヤの材料の硬さ、樹脂の流れる方向とワイヤの向きの関係で決まります。ワイヤが長く細いほど流されやすく、金線より硬い銅線は流されにくい傾向があります。変形の程度は、ワイヤの最大の変位量をワイヤの長さで割ったスイープ率(%)で表し、X線透視で測定して、一般に数%程度以下に管理します。
対策としては、粘度が低く流れやすい樹脂や細かいフィラーの樹脂を使う、樹脂を押し込む速度と圧力を段階的に制御する、樹脂が入り口(ゲート)からワイヤに沿って流れるように配置を設計する、ワイヤを短く・ループを低くする、といった方法があります。樹脂を金型の中で上から押し付けて成形するコンプレッションモールド(圧縮成形)では、樹脂が横方向に流れる距離が短いためワイヤスイープが起こりにくく、細く長いワイヤが多数あるメモリの多段積層パッケージやファインピッチ品で採用されています。設計段階では、樹脂の流れのシミュレーションで変形量を予測します。