固定砥粒研磨とは、研磨に使う硬い粒(砥粒)を、パッドや砥石の中にあらかじめ固めて埋め込んでおき、それで表面を削る研磨の方法です。通常のCMPは、砥粒を液体に分散させたスラリーを柔らかいパッドの上に流しながら研磨する遊離砥粒の方式ですが、固定砥粒では砥粒が動かないため、砥粒を含まない薬液や水だけを流して研磨します。
固定砥粒の利点は、出っ張った部分だけを選んで削りやすいことです。遊離砥粒では、柔らかいパッドがへこんだ部分にも入り込み、凹凸の高い所と低い所の両方を削ってしまいます。固定砥粒では、硬めのパッドの表面に出た砥粒が出っ張りに当たって削り、へこんだ部分は削れにくいため、平坦化の効率が高く、広いパターンの中央がへこむディッシングも小さくなります。スラリーを大量に使わないため、廃液やコストを減らせる利点もあります。
半導体では、STI(素子分離)の酸化膜のCMPで、セリアの砥粒を固定したパッドが使われた例があります。一方、パッドの表面の砥粒の出方が使ううちに変わって研磨の速さが安定しにくいこと、硬い砥粒がウェハに傷を付けやすいことが課題です。ウェハを薄く削るバックグラインドの研削砥石や、ダイヤモンドの砥粒を固定したワイヤソーも、広い意味では固定砥粒による加工です。