最終更新 2026-10-19

HDP-CVDとは(高密度プラズマCVD)

High Density Plasma CVD (HDP-CVD)

HDP-CVD(高密度プラズマCVD)とは、密度の高いプラズマの中で酸化膜を成膜しながら、イオンで溝の入り口の角を削り、細い溝を下から順に埋めていく成膜方法です。STIや配線の間を空洞なく絶縁膜で埋めるために使われてきました。溝が細く深くなった世代では、流動性CVDなどに置き換わっています。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

HDP-CVD(High Density Plasma CVD:高密度プラズマCVD)とは、ICP(誘導結合プラズマ)などで作った密度の高いプラズマの中で、酸化膜などを成膜すると同時に、基板に引き込んだイオンで膜を少しずつ削り(スパッタエッチング)ながら、細い溝やすき間を下から埋めていく成膜方法です。1990年代後半から、トランジスタを分ける溝(STI)や配線の間を、すき間なく絶縁膜で埋めるために使われてきました。

通常のCVDで細い溝を埋めると、溝の入り口の角に膜が厚く付いて先にふさがり、中に空洞(ボイドやシーム)が残ってしまいます。HDP-CVDでは、基板側にも電圧をかけてアルゴンなどのイオンを垂直に引き込み、溝の入り口の角に付いた膜を斜めから削り落とします。成膜とエッチングが同時に進み、その比率(D/S比)を調整することで、溝の底から順に膜を積み上げられます。

原料にはシランと酸素、アルゴンなどを使い、低い温度で緻密な酸化膜を作れます。ただし、溝の深さが幅に対して大きく(高アスペクト比に)なると、削りながら埋めるだけでは追いつかなくなり、削ったときに下の膜や角を傷める問題も出てきます。そのため、20nm世代以降の細く深い溝では、液体のように流れ込む流動性CVD(FCVD)や塗布型の膜、ALDが使われるようになりました。

図解

高密度プラズマで成膜とイオンによる削りを同時に進め、溝の底から埋めていくHDP-CVDの仕組み
アスペクト比が高い溝では、流動性CVDや塗布膜、ALDが使われる。

紛らわしい言葉の切り分け

HDP-CVDと流動性CVD(FCVD)。違いは溝を埋める仕組みです。HDP-CVDは成膜しながらイオンで溝の入り口の角を削り、底から積み上げます。流動性CVDは液体のように流れる膜を溝に流し込み、後の熱処理で酸化膜に変えます。細く深い溝ほど流動性CVDが有利です。 比較記事 →

よくある質問(FAQ)

HDP-CVDで溝の入り口が先にふさがらないのはなぜですか?
成膜と同時に、基板に引き込んだイオンで膜を削っているためです。イオンは垂直に飛んでくるため、溝の入り口の角のように斜めの面は削られやすく、平らな底には膜が積もります。成膜と削る量の比率を調整して、入り口が開いたまま底から埋めていきます。
HDP-CVDとFCVDはどう使い分けますか?
HDP-CVDは、比較的広い溝や配線の間を緻密な酸化膜で埋めるのに向いています。FCVDは、最初に液体のように流れる膜を付けて細く深い溝に流し込み、後から熱処理で酸化膜に変えるため、高アスペクト比の溝でも空洞を残さずに埋められます。微細な世代のSTIではFCVDが主流です。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. 群馬大学 松田順一「CMOSプロセス・フロー概要(平成29年度 集積回路設計技術・次世代集積回路工学特論資料)」(2026/10/19 確認)