HDP-CVD(High Density Plasma CVD:高密度プラズマCVD)とは、ICP(誘導結合プラズマ)などで作った密度の高いプラズマの中で、酸化膜などを成膜すると同時に、基板に引き込んだイオンで膜を少しずつ削り(スパッタエッチング)ながら、細い溝やすき間を下から埋めていく成膜方法です。1990年代後半から、トランジスタを分ける溝(STI)や配線の間を、すき間なく絶縁膜で埋めるために使われてきました。
通常のCVDで細い溝を埋めると、溝の入り口の角に膜が厚く付いて先にふさがり、中に空洞(ボイドやシーム)が残ってしまいます。HDP-CVDでは、基板側にも電圧をかけてアルゴンなどのイオンを垂直に引き込み、溝の入り口の角に付いた膜を斜めから削り落とします。成膜とエッチングが同時に進み、その比率(D/S比)を調整することで、溝の底から順に膜を積み上げられます。
原料にはシランと酸素、アルゴンなどを使い、低い温度で緻密な酸化膜を作れます。ただし、溝の深さが幅に対して大きく(高アスペクト比に)なると、削りながら埋めるだけでは追いつかなくなり、削ったときに下の膜や角を傷める問題も出てきます。そのため、20nm世代以降の細く深い溝では、液体のように流れ込む流動性CVD(FCVD)や塗布型の膜、ALDが使われるようになりました。