最終更新 2026-10-19

流動性CVDとは(FCVD)

Flowable CVD (FCVD)

流動性CVD(FCVD)とは、成膜の直後は液体のように流れる膜を作って細く深い溝の底まで流し込み、熱処理で固い酸化膜に変える成膜方法です。溝の形に沿って付く通常のCVDと違い下から満たすため、空洞を残さずに埋められます。20nm世代以降のSTIや3D NANDで使われ、熱処理での膜の収縮が課題です。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

流動性CVD(FCVD:Flowable CVD)とは、成膜の直後には液体のように流れる性質を持つ膜を作り、それを細く深い溝の底まで流し込んでから、熱処理で固い酸化膜に変える成膜方法です。溝の形に沿って膜が付く通常のCVDと違い、すき間に下から満たしていくため、高いアスペクト比の溝でも空洞(ボイドやシーム)を残さずに埋められます。2010年ごろから、20nm世代以降のSTIなどで使われるようになりました。

一般的な方法では、シリコンと窒素を含む原料と、離れた場所のプラズマで作った活性なガスを、低い温度の基板の上で反応させます。すると、シリコン・窒素・水素を含む、まだ固まっていない柔らかい膜ができ、毛細管の力などで溝の中に流れ込みます。その後、オゾンや水蒸気を含む雰囲気で熱処理(キュア)すると、窒素や水素が抜けて酸素と置き換わり、酸化膜(SiO2)に変わります。

FinFETのフィンの間、3D NANDの深い溝、DRAMの細いパターンなど、溝が細く深くなるほどFCVDの役割は大きくなっています。課題は、熱処理で膜が縮むことと、溝の奥と入り口で膜の質がそろいにくいことです。縮むと周りの構造に応力がかかり、細いパターンが倒れたり曲がったりする原因になるため、熱処理の条件の最適化が重要です。塗布して焼き固めるSOG(スピンオングラス)と似た考え方を、CVDで実現した方法といえます。

図解

低温での流れる膜の成膜、溝への流入、キュア、酸化膜への変化までの流動性CVDの流れ
原料や熱処理の条件は装置メーカーと用途によって異なる。

紛らわしい言葉の切り分け

HDP-CVDと流動性CVD(FCVD)。違いは溝を埋める仕組みです。HDP-CVDは成膜しながらイオンで溝の入り口の角を削り、底から積み上げます。流動性CVDは液体のように流れる膜を溝に流し込み、後の熱処理で酸化膜に変えます。細く深い溝ほど流動性CVDが有利です。 比較記事 →

よくある質問(FAQ)

流動性CVDとSOG(スピンオングラス)の違いは何ですか?
どちらも液体のように流れる材料で溝を埋め、熱処理で酸化膜に変える点は同じです。SOGは液体の材料をウェハに回転塗布するのに対し、流動性CVDはガスの原料から真空の装置の中で流れる膜を作ります。流動性CVDは膜の厚さや組成を制御しやすく、ほかの成膜工程と同じ装置群で扱えます。
なぜ熱処理で膜が縮むのですか?
成膜したばかりの膜には窒素や水素が多く含まれており、熱処理でそれらが抜けて酸素と置き換わり、緻密な酸化膜に変わるためです。抜けた分だけ体積が減り、膜が縮みます。縮むと周りの細い構造に応力がかかるため、熱処理の温度や雰囲気を段階的に調整します。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. Applied Materials「Producer Eterna FCVD」(2026/10/19 確認)