領域選択成膜(ASD:Area-Selective Deposition)とは、ウェハの表面のうち、狙った材料の上にだけ膜を付け、ほかの材料の上には付けないようにする成膜技術です。たとえば、金属の配線の上にだけ絶縁膜やキャップの膜を付け、周りの絶縁膜の上には付けない、といったことができます。露光とエッチングで形を作る代わりに、表面の材料の違いを使って自動的に膜の位置を決めるため、ボトムアップの加工とも呼ばれます。
膜を選んで付ける方法にはいくつかあります。1つ目は、原料が特定の材料の表面とだけ反応しやすい性質(固有の選択性)を使う方法です。2つ目は、膜を付けたくない場所に、原料をはじく分子(阻害剤)を先に吸着させる方法で、自己組織化単分子膜(SAM)や小さな分子の阻害剤が使われます。3つ目は、付けたくない場所にわずかに付いてしまった膜を、成膜とエッチングを繰り返して取り除く方法で、ALDとALEを組み合わせます。
微細化が進むと、露光の重ね合わせのずれ(オーバーレイ)や寸法のばらつきによって、パターンの端が狙った位置からずれるエッジプレースメントエラー(EPE)が大きな問題になります。ASDは下の構造に自動的に位置がそろうため、ビアを下の配線にぴったり合わせる完全自己整合ビアなどで、ずれの許容範囲を広げられます。露光の回数を減らしてコストを下げられる可能性もありますが、選択性を何nmの膜まで保てるかと、欠陥の少なさが量産の課題です。