スワール欠陥(Swirl Defect)とは、シリコン単結晶をスライスしたウェハを選択エッチングすると、渦巻き状(スワール:swirl)や縞状の模様として現れる微小な結晶欠陥の分布のことです。1960〜70年代に、無転位で育てたFZ(フローティングゾーン)法のシリコン結晶で見つかり、のちにCZ法の結晶でも観察されました。結晶を育てるときの成長の揺らぎに沿って欠陥が並ぶため、渦巻きの模様になります。
スワール欠陥の正体は、結晶が冷える過程で余った点欠陥(原子が抜けた空孔や、余分な格子間シリコン原子)が集まってできた微小な欠陥です。格子間シリコンが集まってできる転位ループの大きめの欠陥はA欠陥、より小さな集合体はB欠陥と呼ばれました。どちらの点欠陥が多く残るかは、結晶の引き上げ速度Vと固液界面付近の温度勾配Gの比(V/G)で決まるというボロンコフの理論が、のちに明らかにされました。V/Gが大きいと空孔が多くなってCOPなどの空孔型の欠陥が、小さいと格子間型の欠陥ができます。
スワール欠陥は、その上に作るデバイスの接合リークや酸化膜の不良の原因になるため、結晶の製造条件の改善によって低減されてきました。現在では、スワールを含むこうした結晶成長時の欠陥はまとめてGrown-in欠陥と呼ばれ、引き上げ速度と温度勾配の精密な制御で欠陥のほとんどない結晶を作ったり、アニールやエピタキシャル層で表面の欠陥をなくしたりして対策しています。