MCZ法(Magnetic field applied Czochralski method:磁場印加チョクラルスキー法)とは、シリコン単結晶を育てるチョクラルスキー法(CZ法)で、るつぼの中のシリコン融液に外から強い磁場をかけながら結晶を引き上げる方法です。1980年ごろに日本で開発され、現在では大口径のシリコン単結晶の製造で広く使われています。
CZ法では、石英のるつぼの中で溶かしたシリコンの融液が、加熱による温度差で激しく対流します。この対流によって、るつぼから溶け出した酸素が結晶に取り込まれ、また融液の温度が揺らいで、結晶の中の酸素やドーパントの濃度に縞状のむら(成長縞)ができます。溶けたシリコンは電気を通すため、磁場をかけると、磁場を横切って動く融液に動きを妨げる力が働き、対流が抑えられます。その結果、結晶に取り込まれる酸素の量を減らしたり、狙った濃度に精密に制御したりでき、成長縞も少なくなります。
MCZ法で作った、酸素の濃度が低く均一な結晶は、さまざまな用途に使われます。イメージセンサーでは、酸素による欠陥が暗電流や白い点の原因になるため、低酸素のウェハが求められます。IGBTなどのパワー半導体でも、酸素が電気特性を変えることがあるため、従来は酸素をほとんど含まないFZ法の結晶が使われてきましたが、より大口径で安価なMCZ法の結晶への置き換えが進んでいます。融液の量が多い300mmウェハ用の結晶では、対流が強くなるため、MCZ法が品質の安定に欠かせない技術になっています。磁場のかけ方には、水平方向にかける方式や、上下で向きが逆の磁場を組み合わせるカスプ磁場の方式などがあります。