ディンプル(Dimple)とは、英語で「えくぼ・小さなくぼみ」を意味し、表面にできる浅い皿状のくぼみのことです。ゴルフボールの表面のくぼみもディンプルと呼ばれます。半導体では、ウェハやチップの表面に生じる局所的なくぼみの欠陥を指すほか、くぼみを意図的に作る加工の名前としても使われます。
ウェハの欠陥としてのディンプルは、研磨後のウェハ表面にできる、直径が数mm程度で深さがごく浅いくぼみです。研磨の際の圧力のむらや、ウェハを保持する部材・研磨パッドの局所的な状態、結晶内部の欠陥などが原因になります。肉眼では見えないほど浅くても、露光の焦点深度が浅い先端工程では局所的な焦点ずれの原因になるため、ナノトポグラフィ(ウェハ表面の数mm範囲の起伏)の一部として、光学式の平坦度・表面検査装置で管理されます。デバイス工程のCMPでは、配線やパッドの金属部分が周囲より削れてくぼむ現象をディッシングと呼び、ディンプルとは区別して扱うのが一般的です。
くぼみを意図的に作る例としては、透過電子顕微鏡(TEM)の試料作りのディンプルグラインディングがあります。試料の中央を研磨して皿状にくぼませ、中心部だけを薄くしてから、イオンで削って電子線が透過する厚さに仕上げます。このほか、はんだ接合や放熱面で、くぼみを付けて濡れ広がりや空気の抜けを制御する設計にもディンプルの語が使われます。