ワイヤボンディングとは、半導体チップの電極パッドと、リードフレームやパッケージ基板の端子とを、細い金属ワイヤでつなぐ接続工程です。ワイヤの直径は一般的なICで15〜50μm程度、パワー半導体向けのアルミ線では数百μmに達します。1960年代から使われている実装技術で、フリップチップなどの新しい接続方式が広がった現在も、出荷される半導体パッケージの大半がこの方式で接続されています。接続を行う装置はワイヤボンダーと呼びます。
主な方式はボールボンディングとウェッジボンディングです。ボールボンディングでは、キャピラリという工具の先から出したワイヤの先端を放電で溶かして小さなボールを作り、熱・荷重・超音波を加えてチップのパッドに接合します(ファーストボンド)。続いてワイヤを繰り出しながらループを描いてリード側へ移動し、ワイヤを押しつぶすように接合して切断します(セカンドボンド、ステッチボンド)。この動作を1本あたり0.1秒以下で繰り返します。ウェッジボンディングは、ボールを作らずにウェッジツールでワイヤを押し付けて超音波で接合する方式で、室温で接合でき、太いアルミ線を使うパワー半導体で広く使われます。ワイヤの材料は、長く標準だった金(Au)から、コストを下げるための銅(Cu)やパラジウム被覆銅線、銀合金線への置き換えが進んでいます。
品質は、ワイヤを引っ張って強度を測るワイヤプル試験や、ボールを横から押して剥がすボールシェア試験で確認します。ループの高さと形も重要で、低すぎるとチップの端に触れ、長すぎるとモールド時に樹脂に押されて変形するワイヤスイープで隣のワイヤと短絡します。フリップチップと比べると、配線が長くインダクタンスが大きいことや、電極をチップの周辺にしか置けないことから、多ピン・高速の先端ロジックには不向きです。一方で低コストで設計の自由度が高く、メモリの多段積層、センサ、パワー半導体、車載ICなどで今も主流の接続方法です。