ジャンクション温度(Tj)とは、半導体チップの内部で実際に電気が流れて熱が発生している部分(pn接合などの活性領域)の温度です。チップの表面やパッケージの外から直接は測れませんが、デバイスの寿命や壊れるかどうかを決める最も重要な温度で、データシートには上限(最大ジャンクション温度)が示されます。シリコンのパワーデバイスでは150℃や175℃が一般的で、SiCではそれ以上を目指した開発も進んでいます。
熱抵抗(Rth)とは、熱の流れにくさを表す値で、1Wの熱が流れたときに何℃の温度差が生じるか(℃/W、K/W)で表します。チップからケースまで(Rth(j-c))、ケースから放熱器まで(Rth(c-s))、放熱器から周りの空気まで(Rth(s-a))のように区間ごとに分けて考え、足し合わせます。ジャンクション温度は「周囲温度+損失×熱抵抗の合計」で見積もるのが基本で、電気回路のオームの法則と同じ考え方です。
パワーモジュールでは、チップの損失が大きいため、熱抵抗を下げることが性能と信頼性に直結します。絶縁基板(DBC)に熱伝導率の高い窒化ケイ素や窒化アルミニウムを使う、はんだを銀焼結に変える、TIMを改良する、チップの両面から冷やす両面冷却を使う、といった工夫がとられます。温度の上下を繰り返すと接合部が疲労するため、ジャンクション温度の変動幅を小さく抑えることも寿命設計の重要な点です。